小中陽太郎/作家/空自イラク派遣 9条違反 「違憲性を真っ向判断」した名古屋高裁 /08/04/23
空自イラク派遣 9条違反
「違憲性を真っ向判断」した名古屋高裁
小中陽太郎(作家・ジャーナリスト)
「イラク派遣違憲」を伝える新聞のビラが、中日ビルの柱に張り出された。
4月17日午後1時半、名古屋高裁は、自衛隊のイラク派兵を明確に憲法9条違反との判断を下したのである。
事務局の木村直樹(郷土史家)から連絡を受け、急ぎ、犬山の大学から栄の噴水前に駆けつけた。雨の中、やっている、やっている。池住義憲原告団代表や中谷雄二弁護士が、街行く人々に勝利報告を。最後にわたしもマイクをとると雨空にテレビ塔がそびえている。ちょうど50年前、名古屋のNHKに赴任した時見上げた塔が一層高く見えた。べ平連時代の津田秀一とも久しぶりに町に立った。
今度の判決は特徴の第1は、地元の中日新聞の明確な見出しを借りれば、
「違憲性を真っ向判断」ということであろう。
自衛隊イラク派兵差止訴訟の会と弁護団の声明はこう評価した。
「この違反判決は、日本国憲法制定以来、日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確に捉え、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決と評価できる」。
ここまで裁判所が憲法問題に踏み込んだのは1993年の札幌地裁の長沼判決以来というから青山邦夫判事(現名城大教授)の判決が画期的なものか解かる。
「市民と言論実行委員会」での取り組み
長年にわたる四日市の公害訴訟や新幹線騒音訴訟などに取り組んできた内河恵一弁護団長、全国の訴訟と連絡を取り合った弁護団のスクラム、全国に広がる女性の元気が勝利の原動力であろう。
このあと夜の反省会は、つぎつぎと報道されるテレビを見ながらの勢いあふれる報告集会となった。
自衛隊が行くところが非戦闘地帯だとう、小泉の奇弁が粉砕され、米軍を運べば、戦闘行為にあたり憲法9条違反ということが司法で明らかになったいま、憲法の世界史的意義を改めてかみしめた。
中谷弁護士に勝因を聞くと「徹底的にイラク戦について事実を積み重ねてきた」ことだという。これこそジャーナリズムの基本に通ずる。
わたしたちは、この間5年にわたって、イラク派兵違憲訴訟の会で、愛労連や東海JCJらとともに「市民と言論実行委員会」をつくり、イラク派兵反対に取り組んできた。天木直人元大使も証言した。
ときあたかも、五月は憲法発布の月。海外からのゲストを迎え「九条世界会議」が開かれる。
日本ジャーナリスト会議(JCJ)、マスコミ関連九条の会連絡会は、韓国記者協会とともに「憲法九条とメディア」についての分科会を開催する。
パネリストは李 成春(ジャーナリスト、韓国記者協会元会長)、桂 敬一(元東京大学、立命館大学教授)、伊藤千尋(朝日新聞記者)。
浅学ながらコーディネーターをお引き受けしたので市民運動の立場から、メディアと憲法九条について大いに論じたい。皆様のご参加と活発な討論を期待するところです。
と き:2008年5月5日(月) 午後4時開始−6時30分
ところ:幕張メッセ国際会議場 中会議室101