小中陽太郎/ジャーナリスト・作家/ あきれ果てた「米軍再編」、グアム移転費3兆円/06/05/05
小中陽太郎(作家)
パリに入った3月31日夜、シラク大統領がテレビ演説して大げさな身振りで、CPE(若者雇用制度)の凍結を告げた。ホテルが近くだったので、コンコルド広場に向かったが、閉鎖されていた。31日はゼネスト、地下鉄は間引き運転だったが、労働組合と学生が、整然とデモを行った。わずか12日で政府は撤回した。若者雇用法というが、実は経営者のためとわかり高校生までがデモに参加していた。こういう足並みは見事なものだった。
帰国すると、米軍再編問題がようやく国民の目に明らかになりつつあった。ローレス米国防副長官が、日本側の負担が360億ドル(3兆円)になると言明したのに額賀防衛庁長官は、これ以上負担協議は行わない、という。(サンケイ5月1日)。2+2という戦争担当部局で同意できるレベルではない。それにローレス発言を、テレビニュースが、大きく伝えたのに翌日の新聞はまったく無視したのにはおどろいた。名古屋で「市民と言論自由の会」を共催している愛労連の榑松佐一事務局長が、「小中さん、どうして新聞はこんな大ニュースを無視するの」と怒りというよりあきれて聞いた。これは、小泉首相が、今国会では、費用負担の関連法案提出を見送って引き伸ばし作戦に出ているためだが、国会に上程されなければニュースでないのだろうか。西山太吉記者が暴いた、沖縄密約の日本負担金は12億円、それさえ日米両政府は、ひた隠しにした。ところがいまでは3兆円を平気で、負担し、受け取るとは。
他国の軍事基地を建設するのは、自衛隊の海外派兵とおなじ憲法違反であろう。しかも予算上、予想できないものはすべて日本側負担とは、なんという乱暴な取り決めであろう。日米安保は、いま危険な曲がり角を曲がろうとしている。いまこそCPEを上まわる抗議運動を、いや安保廃棄の行動を。私も名古屋の友とそのための共同戦線を文化、運動の面で計画中である。憲法記念日に。