仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(110)
閣僚「連鎖辞任」のはじまりか・・・・ 14/10/20
仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)
別に驚くこともないが、お嬢さん大臣・小渕経産相と「うちわ」の松島法務相が辞任した。一日に二人の大臣辞任は前代未聞のようだ。「連鎖辞任」のはじまりか、国民生活そっちのけの「戦争できる国準備内閣」崩壊のはじまりか。
崩壊の予兆は数えきれないが、その一つが「秘密保護法」だ。
安倍内閣は14日の閣議で、昨年末に成立を強行させた秘密保護法を12月10日に施行するため、特定秘密の指定や解除のルールなどを定めた運用基準と政令を決定したが、運用基準の決定にあたっては自民党総務会で異論が噴出していたし、国民の「知る権利」に対する懸念など、一旦了承が先送りになっていたものだ。
間髪を入れず、日本ペンクラブ、日本弁護士連合会などが「毅然としてたたかう」意志を表明した。
マスコミ関連九条の会連絡会や日本ジャーナリスト会議、自由法曹団、マスコミ文化情報労組会議、婦人団体による「STOP秘密保護法」共同行動、「秘密保護法廃止に!」実行委員会などのとりくみはさらに大きくなっていくことになる。
10月19日の『サンデーモーニング』(TBS系)が時間をかけてとり上げていた。
「過去に起こったこと(沖縄密約をスクープして逮捕された”西山事件”)をイメージしてみればことの重大さがわかる」(寺島実郎氏)、「西山事件は40年前、取材や報道が制約されることがまず起きて、国民の知る権利・基本的人権・プライバシー侵害する恐れがある。この法律の問題点、あげていくとキリがない。天下の悪法と呼んでいるが、こんなひどい法律はない」(岸井成格氏)、「原発、メルトダウンを2か月隠すは、スピーディは隠すは、甲状腺がん原因特定できないは・・・、いくつかの事例を見ても、権力者はパワーをもっている。自分の都合のいい理由で情報が閉じられる。権限のないチェック機関だとすると、球団と審判がグルになったら野球の試合にならない。自主規制、法律の脅しでわれわれはいろんなことを知ることができなくなる。強く反対する」(金子勝・慶応大学教授)、司会の関口宏氏は、「そういう危険性がありますね」と結んだ。
「治安維持法がつくられた時、それがそんなに恐ろしい法律だと感じた人は殆どいなかった。それが、5年経って牙をむき出時には誰もどうしようも出来なくなっていた」という加藤周一氏の言葉を思い出す。
そこで気になっているのは、「まさか・・・」と思っている人の多さだ。「戦争できる国にさせない」決意の市民とメディアが「総がかり」で立ち上がれば、安倍内閣崩壊は時間の問題といえよう。
(これは、10月26日付けしんぶん「赤旗」日曜版”メディアをよむ”をふくらませたものです)