仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(111)
ほんとうにすべての野党がだらしなく、ダメなのでしょうか。 14/12/07
仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)
いつも日本共産党に辛口意見をのべている浅井基文さん(元外交官で政治学者)が、ブログに大要次のようなことを書かれています。
「近ごろのマスメディア各社の世論調査の結果を見ていると、一見、理解不能の現象が現れています。それは、安倍政権に対する支持は軒並み低下している一方で、今回の総選挙の結果に関しては自民党の一人勝ちを許す有権者の投票行動になりそうだ」というものです。
例えば、共同通信が11月30日に明らかにした世論調査によれば、安倍政権に対する支持率は43.6%であるのに対して不支持率は47.3%であり、2012年末に安倍政権が登場して以来はじめて不支持が支持を上回ったと指摘されました。
しかも、アベノミクスに対する評価に関しても、回答者のなんと84.2%もの人が経済回復の効果を実感していないと答えたというのです。
それだけではありません。集団的自衛権の行使に関しても、回答者の53.3%が反対、安倍政権が推進しようとしている原子力発電再開に対しても過半数の国民が反対です。ほかの世論調査の結果もほぼ同じ結果です。
なぜこのような一見理解不能の現象が現れているのでしょうか。
明らかなことは、安倍政権 ひいては自公政治に対して”自民党以外に期待が持てない”と判断しているということ以外にありません。
いったんは政権をとった民主党の惨憺たる結果の後遺症は、ひとり民主党の党勢挽回を不能にしているだけではなく、民主党に対する期待を込めて投票した主権者・国民を幻滅させ、今日なお深い傷跡を残しているということです。
しかも、その後の野党乱立現象も多くの主権者・国民にとっては”分けのわからないコップの中の嵐”以外の何ものでもなく、ますます”野党”勢力に対する幻滅感を深める方向に働いていると思われます」と。
浅井さんはつづけます。「しかし、本当にすべての野党がだらしなく、ダメなのでしょうか。
そうではなく、主権者・国民が”野党は全部ダメだ”と考えてしまうところに本当の問題があるのではないでしょうか。端的に言えば、民主党、維新、次世代、改革などは”目くそ鼻くそ”だとは私も思いますが、共産党は違うと思うのです」
「憲法をはじめとする内政問題の多くと平和・安全保障問題に関しては、共産党の認識・主張・政策は説得力のある内容があります。端的に言えば、自民党政治・自公政治に対する主権者・国民の批判の受け皿は共産党であるということです」と。
さらにつづけます。「安倍政治に代表される今日の保守政治(私は民主、維新、次世代、改革も含めています)の危険性ははいまや、日本の針路を決定的に誤らせ、日本を世界的に追いやる段階に来ていることは間違いありません。私たち主権者・国民が今度の総選挙でまなじりを決した投票行動に踏み切ること、即ち大挙して(比例)及びその候補(小選挙区)に日本の進路を託してみるという意思決定のみが保守政治の暴走をチェックできると確信します」と。
つぎの言葉で(共産党嫌いだった人も)気楽になります。「共産党が大躍進して、主権者・国民の信託を裏切ることがあれば、その時は私たちが改めて共産党を懲らしめれば済むだけの話しです」 「自民党が目の色を変えるだけの共産党の大躍進が日本政治をこれ以上誤らせないためには不可決です」と。
浅井さんは、「ニューヨークタイムズ紙社説の安倍政治批判」を次のように紹介しています。
「12月3日付けのニューヨークタイムズ紙は、『日本における歴史のごまかし』と題する社説を掲げ、第二次世界大戦における不名誉な歴史をごまかそうとする、安倍政権に代表される日本の右翼勢力の動きを批判しました。社説は衆議院の総選挙については何も触れていませんが、この時期にこのような内容の社説を発表することは、同紙が安倍政治に代表される日本政治の危険性に対する警告の意味を込めていることは明らかだと思います」として、社説全文も紹介しています。機会があったら読んでみてください。
歴史的な総選挙だけに、「まなじりを決した投票行動に踏み切ること、即ち大挙して共産党(比例)及びその候補(小選挙区)に日本の進路を託してみるという意思決定のみが保守政治の暴走をチェックできると確信します」という浅井さんの言葉に感動したものですから、ついつい紹介してしまいました。
投票まであと7日です。「あのときああしていれば・・・」と後悔したくありませんよね。