仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(112)

紅白歌合戦 15/01/05

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

昨年末の総選挙。日本共産党の大躍進ぶり。この国の政治が じわりと変わりそうな気配です。
  ことしもよろしくお願いいたします。
  さて、大晦日のNHK『紅白歌合戦』。本番が近づくにつれて『紅白』の宣伝の仕方は尋常ではありませんでしたねえ。
  宣伝するからにはそれなりの趣向があるのだろうと期待しましたが、番組の構成は 若者層をターゲットにした歌手からスタート。これも「視聴率対策か」といささかがっかりでしたが、終盤になって 思わず身を乗り出してしまいました。

 横浜のコンサート会場から サザンオールスターズのサプライズ出演(出演は数日前にきまったとか)。桑田佳祐がちょび髭をつけて登場しました。髭についてのコメントはありませんでしたが、どう見ても独裁者ヒトラーもどきです。笑っちゃいましたねえ。
  歌は『ピースとハイライト』。歌詞は著作権に触れそうなので紹介できませんが、内容はまず「教科書問題」。学生たちが知っておかねばならない近現代史を教えてもらえていないことへの疑問の吐露です。つづいて「集団的自衛行使容認の閣議決定」「解釈改憲」への疑問と怒り・・・。鋭いアベ批判です。目を見張った人も多かったのではないですかね。感動しましたよ。
  琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は ご自身のブログで「サザンの今回の行動は、私たち”ゆでガエル”になりかかっている者への警鐘でもあるように思えます」と書かれています。

 アイドルグループ「嵐」の『GUTS!』も聴かせましたねえ。悩んでいる同世代の若者に、「君はひとりじゃない」と呼びかける応援歌です。

 サザンにしろ「嵐」にしろ、市民の怒りを知っているが故のメッセージソングです。そのメッセージ性が投票者に伝わり 「白組優勝」という結果になったと思いますね。

 桑田佳祐がらみでおもしろかったのは1月3日の『長嶋茂雄の真実』(TBS系)です。長嶋さんが倒れたとき 実は生死の境目だったことがあきらかになるなど現役時代の思い出のシーンや懸命にリハビリにとりくむ姿を追った長時間番組でしたが、最後に登場したのは桑田佳祐。桑田は 長嶋さんをうたった『栄光の男』を披露しました。長嶋さんのコメントは 「(桑田佳祐さんは)歌の他でもすばらしい方ですね」。
  あの?長嶋さんですら 桑田の「社会性」を認めているという一コマだったのです。

 国民的番組(といわれていた)『紅白』の一角で、ミュージシャンも発言しはじめました。アベさんがまた「けしからん」と言いそうですね。アベさんの裸の王様ぶりが またあきらかになるでしょう。
  とかく批判の多いNHKですが、激励しようじゃありませんか。

 吉田松陰の妹が主人公という大河ドラマがスタートしましたね。
  萩が舞台です。萩といえば山口県。山口県といえばアベ首相の地元。このドラマ、山口県の宣伝になってしまうのか それとも意(?)に反して幕末をどう描こうとしているのか・・・。ことしのNHKは 要注目ということになりますね。

 みなさん 煌く未年にしましょう。



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