仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/本HPへの書き起こし
無題 17/05/22
仲築間 卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)
◆「共謀罪」の採決が強行された。
当然、NHKは衆議院法務委員会の中継をするものと思っていたが・・・なし。当然、(総括質疑だから)アベ首相が出席するものと思っていたが・・・欠席。「森友学園」「加計学園」問題追及を怖れていたとしか思えない。これで「森友学園」「加計学園」問題追及は加速するにちがいない。
「共謀罪」NO!、「憲法変えるな政治を変えろ!」の怒りの声は全国でこだましている。東京では日比谷野音、国会前などで連日のように抗議集会・デモが展開しているが、なぜか大手メディアの反応は鈍い。
◆5月16日のテレビ朝日『モーニングショー』が、「9条改正で世論調査 新聞社で結果に違い・・・なぜ?」というテーマで朝日新聞と産経新聞の世論調査比較をやっていた。「憲法9条に自衛隊の存在を明記する」ことについてどう思うか」という質問である。質問していることは同じだが、質問の仕方によってこんなにも違う結果になるいい例を示してくれた。
◆「憲法9条に自衛隊の存在を明記する」ことについて
朝日新聞 9条改正「必要」――41%
「不要」――44%
改憲提案評価する――35%
評価しない――47%
自衛隊の存在を憲法に明記する9条改正は「必要」――41%
「不要」――44%
産経新聞 自衛隊の存在を憲法に明記する9条改正は「賛成」――55%
「反対」――36%
である。
◆41%と55%・・・・この違いは?
質問の違いにある。
朝日新聞の質問は 「安倍首相は、憲法9条について戦争を放棄することや戦力を持たないことを定めた項目はそのままにして、自衛隊の存在を明記する項目を追加することを提案しました。 このような憲法9条の改正をする必要があると思いますか」である。その結果は41%と44%と拮抗している。
一方、産経新聞の質問は 「安倍首相が憲法9条に自衛隊の存在を明記する意向を表明したことに賛成か」だ。 結果は55.4%と36%。拮抗していない。産経新聞の別の質問(いま憲法改正をすることに賛成か)では、賛成 49.8%、反対 44.0%。ここでは拮抗している。
その違いは
朝日新聞「・・・このような憲法9条の改正をする必要があると思いますか」
産経新聞「・・・明記する意向を表明したことに賛成か」
の違いである。
同じ産経新聞でも、「意向の表明ならいいが、変えるということになると“ちょっと待ってよ」ということになる。番組の司会者は「(調査の結果で)見える数字は、どのような質問にしているかですね」と結んだ。
◆大手メディアによる世論調査に、視聴者・読者は影響される。いまにはじまったことではない。
各紙、各局が、世論調査にあたって「どのような質問をしているのか」まで見極める必要がある。「世論調査リテラシー(読み解く力)」を養っていこう。 これから先、どんな「目くらまし」が飛び出してくるか・・・。要注意である。