仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(53)大相撲・理事会選挙と民主党、そしてメディア10/02/03
大相撲・理事会選挙と民主党、そしてメディア
仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデュサー)
世の中、 少しずつ変化し始めたようじゃないですか。
2月1日の日本相撲協会の理事選挙。 任期 (2年) 満了に伴っての選挙なのだそうですね。
貴乃花が立候補した。 いままでは 「なあなあ」 選挙だったようですが、 改革派とされる貴乃花は二所ノ関一門の調整に応じず、 一門を離脱しての立候補。 同調した元貴ノ浪や貴闘力なども一門を追放されて応援したんですね。
スポーツ評論家、 相撲評論家、 そしてメディアも、 「当選は厳しい」 といっていましたねえ。 ぼくも、 あの古い体質 (なんとかという部屋でリンチ殺人があったときの対応。 関取の覚せい剤使用のときの対応。 朝青龍の数々の身勝手を見過ごしてきた態度などなど) を見聞きしてきていただけに、 簡単に貴乃花が当選するとは思っていませんでしたよ。
でも、 日本相撲協会の中にも、 「このままでいいのか」 という地脈があったのでしょうね。 貴乃花をはじめとした7人は、 みんな 「厳しい」 と口を揃えて言っていましたが、 いまから考えれば、 何人か 「改革派」 の支持を取り付けていたような気がしている。
貴乃花が、 どんなマニフェストを掲げていたのか定かではありませんが、 大相撲の活性化に向けて、 一歩々々進んでいってほしいものです。
大相撲界の内情は知る由もありませんが。 一度だけ (知人の招待でしたが) 東京場所を桟敷席で見させてもらったことがあるのですよ。 たしか、 一升10万円だといっていましたね。 狭い升ですから、 4人座ればいっぱいです。 一人2万5千円ということになる。 食べたくもないのに料理が出る。 酒も出る。 茶碗などの土産までついている。 運んでくれるお茶子さんにチップを渡すのも習慣なんですね。
これじゃあ、 また来ようかなんて気になりませんよね。 これは、 伝統ともいえる 「お茶屋」 を通しての相撲見物の仕組みなんですね。
言ってみれば、 大相撲は 「庶民」 のためではない。 安保 (日米安全保障条約) でメシを食っている人たち、 「北朝鮮」 問題でメシを食っている人たち、 国の大型公共事業でメシを食っている人たち、 大企業優遇でメシを食ってきた人たちと変わりがありませんね。
貴乃花には、 こんなところから手をつけてもらいたいのですが、 こりゃあ大変なことでしょうね。 でも、 誰かが言い始めなければはじまらない。
メディアも、 「大相撲をどうするか」 について、 視聴者・読者の意見を聞けばいい。 その結果を知らせればいい。 ただそれだけのことでも、 これから始めたらどうでしょうかね。 貴乃花の 「改革」 が本物ならば、 それを参考にするでしょうよ。
政治だってそうですね。
ぼくは、 鳩山さんと小沢さんはお辞めになった方がすっきりすると思う。 たしかに 「重石 (おもし)」 のような存在の小沢さんがいなくなったら、 民主党もしっちゃかめっちゃかに (一時期) なるかもしれませんが、 折角、 政権交代したんだから、 その混乱だって 「自覚的」 に収まらなければおかしいですよ。
貴乃花と日本共産党を同列に論じると、 日本共産党は怒るかもしれないけれど、 普天間基地の問題や、 予算の使い方について、 いま、 きちんとモノを言っているのは日本共産党だけのようじゃないですか。 政治資金をめぐって、 なぜか自民党まで 「政治的、 道義的責任」 なんて言い始めているのには笑ってしまいますがね。
国会にも、 「貴乃花勢力」 を増やすようにしたらと思うのですよ。 表面立って貴乃花を支持した親方は6人でしたが、 開けてみれば10票あった。 貴乃花に投票した3人は 「浮動票」 ではなく、 「隠れた革新票」 だったと思うのですよ。
ぼくの尊敬するテレビの名プロデューサー (現在アメリカにお住みですが) 。 「おれは右翼だが」 と公言しているその大先輩が、 日本の某雑誌にレギュラー寄稿していますが、 その中に、 日本の現状を批判しながら、 「 ・ ・ ・ ・ (小沢さんの一連の対応に触れながら) ここまでくると “正気か” と疑わざるを得ません。 一方の自民党も世代交代などまったく受け付けず、 旧態依然の、 これまた、 あまり見たくもないお馴染みの顔ぶれが居座っている。 民主党がガタついている今チャンスなのに、 何を考えているのか素人にはまったく判らない。 最近は、 日本共産党が一番マトモにみえてきました!!」 とあるのですよ。
誰もが 「変化」 を感じているのですね。 マスメディアも、 「55年体制」 にきっぱり別れを告げて、 視聴者 ・ 読者に 「メディアも変わりはじめた」 と感じてもらいたいものですね。