仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(63)
日本航空問題と「ニュートンの力学」 10/12/25
日本航空問題と「ニュートンの力学」
仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)
12月16日。CCU(キャビンクルーユニオン)の大会に呼ばれたのですよ。
会場は、200人を越える美形たちでぎっしり。この冬いちばんの寒さだったが、熱気ムンムン。久しぶりに高揚感をとりもどしましたね。
ぼくと日本航空の労働組合とのつき合いは古い。1970年代からですね。
日本航空のトップ経営者の部屋には、従業員をないがしろにする「ウイルス」がいるのですかねえ。1965年には乗員組合の役員4名を(たしか)解雇した。組合を分裂させた。男女差別賃金を持ち込んだ。たたかう組合員が整備士国家試験を受けようとすると実機試験をやらせない・・・・。日航労組が立ち上がるのは当然でしたね。
大企業の本社が集中する千代田区には、大企業の横暴を止めさせようとさまざまな労働組合や争議団が集まってくる。そこではじまったのが、ご存知でしょうか、「千代田総行動」です。3万人が集まったときもある。
「日本」という字で共通していたのか、日本航空と日本テレビは共同行動をやったものですよ。当時、日本テレビも賃金・労働条件の改悪に反対して労使は対決していたのです。
日航の場合は、乗客の「いのち」と「安全」に直結したたたかいですよね。日テレは直接「いのち」に関係はしないが、番組の「質」につながるたたかいでした。
日航、日テレ、それに日産プリンスなど、男女差別でたたかう女性たちが独自に「千代田婦人交流会」をつくって立ち上がった。おもしろい時期でしたねえ。有名な「三菱樹脂高野事件」も、そんな運動の中で12年ぶりに解決していきましたね。『沈まぬ太陽』のモデルの原型・小倉寛太郎さんも日本に帰ってきた。
そこで、日航の「整理解雇」問題です。日航は、またまた同じ轍を踏み始めましたよ。希望退職者が予定を上回っているというのに、まだ「解雇」するという。あきらかなルール違反ですが、ことは乗客の「いのち」と「安全」に関わることです。1300億円の黒字になっているというのですよ。
そもそも、責任はどこにあるのですか。高価な飛行機を(アメリカから)買わされ続けてきた。採算のとれない地方空港をつくらされ、「飛べ」といわれてきた。その結果の責任は、誰もとろうとしていない。
ついでに「ニュートンの力学」の話をしたのです。りんごが落ちる話ではありません。「作用と反作用の法則」です。
「物体Aが物体Bに力を加えると、必ずBもAに同じ大きさで反対向きの力を返す」。「作用あれば、反作用」です。「千代田総行動」のなかでよく使われた言葉です。
「反作用」は、いたるところで起きています。TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する運動なんかそうですね。沖縄県知事選なんか最たるものですよ。仲井真氏が「県外移設」に舵を切ってのぞまざるを得なかったのは、「伊波さん効果」。沖縄の人たちの「反作用」力でした。
「反作用」力は、ますます増していくでしょう。だって、ぼくらはもうこれ以上退がれないところにきている。
CCUのたたかいは、必ず勝ちますよ。何故なら、「大企業のやりすぎ」を是正させるたたかいはCCUだけのことではないからですよ。「勝つまでやめない」からですよ。
12月21日。日航本社前の緊急集会に参加しました。4日ぶりにCCUの人たちに会った。覚えてくれていて声をかけられた。いっしょに横断幕を持ってシュプレヒコールを本社ビルに轟かせましたよ。
あけまして・・・めでたくなるかどうか。
めでたくなる年にしたいものですね。
みなさん よいお年をお迎えくださいね。
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