仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(75)

被災地と東京の少年野球・親善試合 11/10/03

 

被災地と東京の少年野球・親善試合

 

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

 

 今回は、ちょっと違う目で世の中を見てみます。
  先日、城南信用金庫の副理事長、秘書室長に、なんと目黒の高級料亭でご馳走になったのですよ。
  理由は?
  知人からの依頼の電話がきっかけです。
  「10月2日、被災地の少年野球チームと東京の少年野球チームの親善野球を東京ドームで行う」「野球といえば徳光。大会の総合司会を徳光和夫さんにお願いしたい。仲介してくれないか」・・・からはじまったのです。

 普通の金融機関だと二の足を踏むところですが、「城南信用金庫」と聞いてその気になりましたね。
  ご存知の方も多いでしょう。城南信用金庫が4月8日の公式ホームページ上で吉原 毅理事長が「脱原発」といえるコメントを発表しました。吉原さんは「原発の危険性をあらためて認識した」「私たちは、原子力エネルギーに依存することはあまりにも危険性が大きすぎるということを学んだ」「原発に頼らない安心できる社会へ」「普通の企業としても、金融機関としても、社会的存在を自覚したい」「企業としても発言し、行動していくことが必要」と述べたのです。
  大手メディアも、そのことを報じました。
  報道を通じて知って、城南信金がいっぺんに気に入ったのです。

 早速、徳光和夫のマネージャーと連絡とりました。「当日(10月2日)は午後の予定があるが、午前中ならOK」ということでした。東京ドームは、まだプロ野球戦の最中ですが、「午前中なら」というので協力してくれることになったのだそうです。
  招待されたのは、気仙沼の中井小学校少年野球クラブ、宮古の田老リトルズスポーツ少年団、石巻の鹿妻・子鹿クラブスポーツ少年団です。1日は巨人・広島戦を観戦するといいます。
  親善試合は2日の7時15分からです。東京チームは大田区の池雪ジュニアストロングをはじめ8チーム。

 東北勢の3チームに、東京の8チームが順番に挑むのですから勝敗は決まったも同然です。結果は2勝1分けで東京チームが勝ったそうです。
  今朝(3日)、秘書室長から電話がありました。「大成功だった」「結果は東北が負けたが、こどもたちはあらたな元気をもらったようだ」と。
  そして、「徳光さんは、出演料を受け取ってくれませんでした。宮古に親戚がいるそうです。出演料は被災地に支援に役立ててくださいということでした」と。
  うれしいですねえ。
 
  いま、大企業の「社会的責任」が問われているじゃありませんか。250兆ともいえる内部留保金の一部を(復興公債などに)活用してはどうかという提案がなされていますが、何の反応もありませんね。それどころか「企業減税」だといっているようです。このままだと、被災者をはじめ 庶民生活に救いはありません。「いつか来た道」を歩かされることになりそうです。
  戦後、さまざまな分野で「戦争責任」について反省されました。「あのとき ああしていれば・・・」という声を聞いたものです。いま その時期が再びきているのじゃありませんかね?。
  城南信用金庫の「脱原発」宣言は、理事長一人の発想ではないようです。経営陣話し合った上の、一致した認識のようです。
  城南信金の考え方が伝播していけば、日本も捨てたものではありません。まだまだ未来はあるかもしれない。
  そんなことを感じているこの半月です。

  気候の変わり目です。くれぐれも体調にご留意ください。


 

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