仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(81)

海よ 山よ 空よ ―東日本大震災から1年― 12/03/05

 

海よ 山よ 空よ ―東日本大震災から1年―

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

 

 あの日から1年が経ちました。
  いわき市出身の小野寺利孝弁護士の話を聴く機会がありました。小野寺さんとは、昨年7月18日の「上野の森に広島・長崎の”火”を灯しつづけて20年」のつどい(日比谷公会堂。彼が実行委員長。ぼくが舞台の構成・演出を担当したのです。)以来のつき合いです。
  彼は、いわき出身ではあっても原発「安全神話」に毒されていたこともあって、原発過酷事故を想像することはまったくなかったといいます。長い間、核兵器廃絶を求める市民運動に参加しながら、危険な「核」を原発で管理使用できるものと思い込んできた自分の無知を恥じるだけでなく、ふるさとでの福島原発差し止め訴訟にも一切関与しなかったことについて自責の念を禁じえないものがある、と述懐しています。
  3.11が彼に与えた衝撃は計りしれません。「怒りで身体が震えた」といいます。彼は先日、双葉町を(防護服に身を固めて)訪れたそうです。さっきまで営みがあり、賑わう人影があったような表情で町並みがつづいているといいます。「すぐにでも帰れるだろう」と、サンダル履きで逃げた女性もいたといいます。しかし、戻ることはできません。
  一瞬にして人が消えた!。「まるでSF映画を見せられている思いでその町並みを見続けた」といいます。
  人影もないメインストリートに、「原子力 正しい理解で豊かなくらし」「原子力 明るい未来のエネルギー」と書かれた横断幕が、いまも風にはためいているそうです。

 彼はいま、法律家5団体共催(マスコミ関連九条の会も後援者として名前を連ねます)による「福島原発災害連続講座」(4月7日~8日 福島)に取り組んでいます。

 あれから1年。
  3.11には全国規模で「脱原発」行動が取り組まれます。
  東京は井の頭公園。何万人あつまることでしょう。国会包囲の「人間の鎖」行動もあるようです。

 ぼくの住む大船では、昨年9月11日の行動「第二弾」として、3月11日午後2時から「STOP原発 大船パレード」をおこないます。
  大船駅東口を出て徒歩3分。大船中央病院と三菱電機の四つ角にある「対話の広場」が集合場所です。
  今回もワンちゃん ニャンちゃんが参加するでしょう。お近くの方は 気楽にご参加ください。

 ついでに、3月15日(木曜日なのです) 15時から大船教会で『いま フクシマを考える』講演とパネルトークを開催します。
  講演は「脱原発宣言」で話題の 城南信用金庫理事長・吉原毅さん。「企業の社会的責任」に触れられるにちがいありません。お忙しいのにお引き受けいただいたのです。
  パネルトークは真木実彦さん(福島大学名誉教授)と片岡輝美さん(放射能から子どもの命を守る会・会津代表)の「原発被災地の実相を伝える」です。いい企画だと思っているのです。
  ぼくの役回りは総合司会。パネルトークのコーディネーターはハワイ大学大学院生の飯田洋子さんです。
  誘い合ってご参加いただければ うれしい。

 3月は いろんなとりくみが続くでしょうね。

 私事になりますが、「愛のうた三部作―想い―」につづく第二弾の詞をつくりました。
  歌手の佐藤真子さんから「被災地に思いを寄せる歌を」といわれて書いたのが「海よ 山よ 空よ」です。曲になるのかなと思いながらつくったものに、なんと作曲家の十河陽一さんが(きっと苦心されたと思います)曲をつけてくれたのです。

      海よ 山よ 空よ(仮)

            詞 仲築間卓蔵
             曲 十河陽一

 あの日
  春まだ浅い東北(古里)の 大地が揺れた
  立つことさえままならず 怯えていた
  大丈夫か! 怪我はないか!と 
  叫ぶ声が飛び交った
  大地は揺れつづけた
  あのひとはどこに・・・
  あァ あァ
  わたしの 海よ 山よ そして空よ
  わが同胞(はらから)よ
  もう 泣かせはしない
  これは「約束」
  忘れはしない いつまでも

 あの日
  慣れ親しんだ海が 山になった
  悪夢(ゆめ)かとさえ思えたが これは現実(うつつ)
  早く逃げて! 早く逃げなさい!と
  無線の声が叫びつづけた
  町が 営みが 消えた
  あの人はどこに・・・
  あァ あァ
  この国の 海よ 山よ そして空よ
  わが同胞(はらから)よ
  もう 悲しませはしない
  これは「約束」
  忘れはしない いつまでも

 あの日
  背伸びして見た空が 汚された
  空の色は変わらないが 汚したのは誰か
  帰りたいが 帰れる日はいつか
  仮住まいの夜は長く 辛い
  あの人はどこに・・・
  あァ あァ
  この星の 海よ 山よ そして空よ
  わが同胞(はらから)よ
  もう 諦めさせはしない
  これは「約束」
  忘れはしない いつまでも

 *ブラームスの「子守唄」用に口語体の詞をつくったのですよ。
   「法定作詞」とやらで簡単に詞を替えるわけにはいかないといいます。
   この詞にも十河さんが曲をつけてくれました。

    (子守唄)
     あしたは きっと(仮)

        詞 仲築間卓蔵
         曲 十河陽一

 お眠りなさい
  なにが気になるの
  きょうのことは お忘れなさい
  花の 香りに
  包まれなさい
  明日(あした)はきっと
  さわやかだから

 お眠りなさい
  何も気にしないで
  きょうのことは お忘れなさい
  わたしの胸で おやすみなさい
  明日(あした)はきっと
  すばらしいから

 るるる るるる
  るるる・・・・・
  ・・・・・・・・
  わたしの胸で
  おやすみなさい
  明日(あした)はきっと
  ひかり満ちるから

 *十河さんの映画音楽を聴く機会がありました
   その中に 気に入ったメロディーがあったのです。布団のなかで半徹夜状態で詞をつけました。出来合いの曲に詞をつけるのは けっこう難しいものですが、出来上がりました。「祈り」と仮題しました。
   3月12日、銀座のスタジオで佐藤真子、十河陽一両氏と仮の音入れをやることになっているのです。
   何人かに聴いてもらって、CD化を考えようと思っているのです。

   
    祈り(仮)

     詞 仲築間卓蔵
      曲 十河陽一

 忘れはしない
  あの日のことを
  泣きはしないと 約束しても(したが)
  あァ 思い出す
  古里で
  見上げた星のきらめきを

 諦めはしない
  いのちのかぎり(いついつまでも)
  悲しまないと 約束したが
  あァ 思い出す
  古里の
  遠くに霞む 山並みを

 伝えてほしい
  あの日のことを
  諦めないと 約束したが
  あァ 思い出す
  古里の
  はるかな海の 輝きを


 

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