仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(82)
(続)海よ 山よ 空よ 12/03/14
(続)海よ 山よ 空よ
仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)
東日本大震災から1年。全国各地で被災地に思いを寄せるとりくみやパレード(どうも「パレード」という言い方は ぼくにはなじみませんねえ)がとりくまれました。
ぼくの住む鎌倉の大船地域も「STOP原発 大船パレード」をやりました。朝からの小雨で心配しましたが 出発時は好天気。昨年9月11日の行動参加者は80人でしたが、今回は(たいした宣伝もしなかったのですが)95人と2匹のワンちゃんが参加。今回の特徴は フランス人のヨガ教師が知人を誘って参加してくれたことです。おもいおもいに黄色を身につけ ギター弾く人あり カスタネットを鳴らす人ありで アピールには十分すぎる行動でしたね。
大船の次のとりくみは、15日の『いま フクシマを考える』です、いまや「時の人」となっている城南信用金庫の吉原毅理事長の講演と、福島大学名誉教授・真木実彦さん、会津の片岡照美さんが「福島の実相」を話してくれます。
場所は 大船教会(大船駅東口から徒歩です)。開会時間は15時です。
9日に公表された原子力災害対策本部などの議事録の概要を知らされておどろきましたねえ。
アメリカ原子力規制委員会の報告書3000ページにくらべて、対策本部のものはわずか76ページだというじゃありませんか。
当初から、メルトダウンの可能性が指摘されていたのです。
実務的オペレーションの統率がとれていなかったのです。つまり、誰が 何をやるのか決まっていなかったのです。
SPEEDI(放射性物質拡散の予測)のデータを「パニックが起きるから」と知らせなかったのです。公開されていれば、放射能の飛び散る方向に避難することなく、住民の被ばくを減らせることができたのです。
知らせるべきことを知らせなかった・・・・。政府の危機管理のなさが、あらためて浮き彫りになりました。
被災者には、(不十分とはいえ)情報はマスコミを通じてしか入らなかったのです。
しかも、政府や東電の議事録によれば、海江田万里経産相(当時)が、原子力安全委員の一人に「外部に情報を出さないよう」くぎを刺そうとしていたのです。
福島県の地元紙が一面トップで「収束、年内は絶望的」と報じたときには「社内(東電)の情報管理をしっかりする」という発言があったこともあきらかになりました。
関係者が「いい格好をしたいから(議事録を)書き直させた」(『NEWS23』TBS系、9日)というにいたっては空いた口がふさがりません。
いのちに関わる情報が隠され続けた一年でした。
にもかかわらず、原発再稼動発言が聞こえはじめました。「原発事故の原因究明も尽くさないまま政府が『安全』だと再稼動を決断するのは文字通り新たな”安全神話”をつくるもの」(しんぶん赤旗10日付け)・・・。まったくそのとおりです。
原発も、消費税増税もTPPも、基地問題も、「国民が犠牲になる」という点では「図式」は同じです。
大手メディアは、この「図式」を直視してほしい。
これからの一年、大手メディアには国民目線に立った「勇気ある報道」を期待したいですね。
前回、ぼくの詞のことを書きました。12日、銀座のスタジオで作曲家の十河陽一さん、歌手の佐藤真子さんと仮の録音をおこないました。
歌いやすいように、歌詞の一部を削りました。いい曲に仕上がりました。
その節は よろしくです。
あらためて詞を紹介します。
海よ 山よ 空よ
あの日
春まだ浅い故郷の 大地が揺れた
町が 営みが 消えた
あの人はどこに・・・・
あァ
わたしの 海よ 山よ 空よ
わが同胞(はらから)よ
もう 泣かせはしない
それは「約束」
忘れはしない いつまでも いつまでも
あの日
わたしが愛した海が 山になった
大地は 揺れつづけた
あの人はどこに・・・・
あァ
この国の 海よ 山よ 空よ
わが同胞(はらから)よ
もう 悲しませはしない
それは「約束」
忘れはしない いつまでも いつまでも
あの日
背伸びして見た空が 汚された
仮住まいで過ごす夜は長く 辛い
あァ
この星の 海よ 山よ 空よ
わが同胞(はらから)よ
もう 失わせはしない
それは「約束」
忘れはしない いつまでも いつまでも
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