視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)12/07/15
官邸前行動
まだ政権を倒してもいないし、原発再稼働を止めたわけでもないから、「革命」というのはおこがましいが「あじさい革命」というのだそうだ。金曜日の夕方の首相官邸前。どこからともなく人が集まってくる。集まったのは、6月22日は4万5千人、29日は20万人、7月6日も15万人、13日にも15万人だったという。正確な数などわからない。近くまで来て近づけなかった人も、ただ来て通りすぎた人もいる。主催者と警察の見方の違いも論争になる▼齋藤茂男さんから60年安保のデモ報道の経験を聞いたことがある。「デモもその気になってみないと毎回同じだ。じゃあ書けない書く必要はない、ということになるのか。でも違う。プラカードの内容や、参加者の声を聞く。そうすると毎回違う。情勢は毎日動いている。つまらないことのように思うけど、それをメモして記事に書き残す。それがジャーナリズムだ」▼「ジャーナリストは、歴史のデッサンを描いている」と言ったのは、ワシントンポストの編集主幹だったベン・ブラドリーだそうだが、デモ報道が書き残さなければいけないのは、単なる人数ではない。「きのうと違う今日、あすに向かう今日」だ。大事なのは、歴史をどうデッサンするか、なのだ▼6月29日は東京がカラー写真付きで一面トップだった。7月13日、東京は1面左「首相ピリピリ 強まる勢い増すダメージ」。16日の大集会に向けて坂本龍一さんの話を紹介。朝日は社会面を半分使って、大展開した。こうなれば、ジャーナリズムの競争だ。