視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)13/11/19

 

「改憲の限界」

 

 秘密保護法問題の超党派議員団のお役人を呼んだ勉強会でも予想されていたことだが、国会の特別委員会での審議のニュースを見て改めて痛感するのは、議論が議論になっておらず、少しも深まっていないことだ。森雅子担当大臣と官僚の答弁が食い違うのはしょっちゅうのこと、しかも森大臣は担当部署の情報調査室への指揮監督権限を持っておらず、法案の提出理由もまともに説明できず、与党議員も「困惑」しているらしい▼一方では、野党を一つでも取り込もうと、国会そっちのけの談合を重ねて、議論ができないままのスケジュールによる強行をもくろんでいる。マスコミの報道もようやく活発になってきたが、委員会審議の詳報を載せることもなく、中にははやばやと「成立の公算」(10月●日と打って、「見通し」を決めてしまっている。国会とは、一体何なのか?▼国民を主権者として憲法に基づく政治をしようとする「立憲主義国家」で、憲法に戦争放棄や基本的人権の尊重が決められている。この原則は、憲法の改正手続きを踏んだとしても変えることはできない。憲法はその「制定権力」である国民の意思に反する改正はできないからで「憲法改正の限界」といわれる議論だ▼いま、安倍政権が進めている「違憲立法」の数々は、議論を進めれば進めるほど、この問題にぶつかる。いま提案されている秘密保護法案が、提案者としても整理ができないし、説明しようとしてもできないのは、国の基本的なルールを壊そうとしているからだ。もう、廃案しかない。