視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)14/01/20
「新聞チェック」
2014年。秘密保護法に続いて、12月17日防衛大綱と国家安全保障戦略の閣議決定、26日首相の靖国参拝、27日には仲井真弘多沖縄県知事の「辺野古埋め立て承認」と、政権のごり押しが続き、米国が靖国参拝で《失望》を表明したように、世界から孤立が深まる中で新春を迎えています。
元旦の紙面では、朝日、読売がトップを企画に当てたのに対し、毎日は《中国、防空識別圏3年前提示 日本コメント拒否》と、大騒ぎした識別圏問題も日本政府にはとっくの昔に伝えられていたことを暴露、東京は《東電 海外に200億円蓄財》《公的支援1兆円 裏で税逃れ》と、国から1兆円の支援を受けた東電が海外の発電事業投資で稼いだ利益をオランダに蓄積していたという特ダネでした。今年も新聞世論を引っ張るのはこの2紙でしょうか。
▼社説は「民主主義」
元旦社説は、朝日《政治と市民賑やかな民主主義に》、毎日《民主主義という木 枝葉を豊かに茂らそう》、東京《年のはじめに考える 人間中心の国づくりへ》でしたが、読売は《日本浮上へ総力を結集せよ 「経済」と「中国」に万全の備えを》、産経は樫山幸夫論説委員長の《国守り抜く決意と能力を》です。日経は《飛躍の条件伸ばす 変わる世界に長期の国家戦略を》。地方紙も、道新が《憲法から考える 100年の構想力が問われる》、京都も《民主主義の幹を太くしよう》、新潟は、《平和の中で豊かな文化を》と民主主義の模索が目立ちました。
「世界の目」を意識してか、しないでなのか、1日には新藤義孝総務相も靖国神社を参拝。中国、韓国は反発しました。安倍首相への批判は政権全体への批判に変わりつつあります。安倍首相の靖国参拝で、「世界が共有している第二次世界大戦の結果に関する評価と異なる日本社会の傾向を拡張しようとする一部の勢力の試みが加速している」としたロシア外務省の指摘には説得力があるのです。
▼混迷?都知事選
5千万円疑惑の猪瀬直樹東京都知事の猪瀬直樹東京都知事の辞任(12月19日)で、突然都知事選が(23日告示、2月9日投開票)が始まります。12月暮れの秘密保護法の集会で立候補の意思を表明していた宇都宮健児・前日弁連会長は、6日正式に記者会見。共産党と社民党が即日支持を表明。
自民党、民主党は、対抗馬を模索中。舛添要一氏も8日事実上の出馬声明、何と8日には《細川元首相、候補に浮上》(朝日)。まだ流動的ですが、1月12日告示19日投票の名護市長選とともに、日本の進路に響く重要な選挙です。
7日には、オリバー・ストーン、マイケル・ムーア、ノーム・チョムスキー、ジョン・ダワー氏ら29人が普天間基地を辺野古に移す計画に反対を表明(東京8日夕刊1面トップ)しました。 (ま)