視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)14/05/01
「非戦の覚悟」
「集団的自衛権は砂川事件の最高裁判決も認めている」という、いままで聞いたことがない、歪曲した理屈で目くらましをしながら、「憲法解釈を閣議決定でやってしまい集団的自衛権の行使容認へ進もう」という改憲路線が進んでいる▼「地ならし」的な情報の小出しだが、安保法制懇の報告案が次第に明らかになり、「限定的」「必要最小限」と言いながら「我が国と密接な関係がある国」が「攻撃され場合」には行使を容認する、という内容になるらしい。「地球の裏側も排除しない」といい、憲法九条は全く無視。まさにナチスばりに、「憲法は変わらないまま安倍憲法ができた」という事態になる▼安倍政権の特徴は、どんなに反対の声が大きくても、思い込んだら一直線で、闇雲に突っ込んでいく政治手法だ。事故から3年1か月目、4月11日金曜日に決めた「原発は基幹エネルギー」とした新エネルギー方針もそれだが、「防衛装備移転3原則」と名前を変えて「武器禁輸3原則」を捨て去る決定も同じ。まさに「暖簾に腕押し」の感だ▼しかも困るのは、自民党にもあるはずの「護憲派」や「リベラル派」の声は全くと言っていいほど聞こえず、与党の公明党も「歯止め」の役を果たしていないことだ。小選挙区制も要因の一つだが、圧倒的に欠けているのは、「日本の将来に対する政治家としての自覚」だ▼「戦争はしない」「やってはいけない」だから「できない」のが、日本国憲法体制。こんな形で「戦争への道」を歩んではならない。改めて「非戦」の覚悟を。