視角/ 丸山重威 (関東学院大学教授) (JCJジャーナリストより転載)15/06/23

「安倍独裁」

 「安保法案はどう見ても憲法違反だ」―3人の憲法学者、それも、護憲運動に関わったり、法案について発言していた、いわゆる「左派」ではなく、政府寄りだと思われていた3人が揃って発言したことで大騒ぎになった▼自民党の高村正彦副総裁は「学者は条文に拘泥しすぎる」、菅義偉官房長官は「合憲と考える学者も沢山いる」と言ったが、「誰か」と言われて3人しか上げられず、「参考人の人選が問題」と憲法審査会の与党代表に八つ当たりした▼慌てたのは、政府・与党だけではない。読売新聞は6日、「昨年7月の政府見解で決着したはずの憲法問題が今、蒸し返されたことに違和感を覚える」と書いたが、「決着」させようとしたのは、そちらさんだけではないか▼前提を変えず、結論だけを「集団的自衛権行使も可能」とする論理はもともと筋が通らなかった。異論に耳を貸さず突っ走ってきた政府・与党。眉をひそめながら、これを止められなかったメディアにも責任がある▼ニュースが続いた。参考人に呼ばれた小林節・長谷部恭男両教授の会見、河野洋平元衆院議長・村山富市元首相の会見、山崎拓・亀井静香・武村正義・藤井裕久の自民党元幹部が会見…▼「なぜ急ぐのかわからない」とか「今国会は無理。出直せ」の意見も強いが、「夏までに成立させる」と米国に約束した首相は、約束を違えれば辞めなければ申し訳が立たない。何と、「9月まで延長国会」まで飛び出した▼9月は夏のうち? 昔から皇帝は暦を支配したがる。安倍独裁の最終局面だ。