資料 全国各新聞の社説・論説欄にみる改憲問題に対する姿勢(桂作成)

 注 (1) 2007年5月3日前後の発行号に掲出されたものを桂が選定した。とくに月日記載のないものは5月3日付新聞に掲     載のもの。
   (2) 新聞ごとに題号、社説等の主な見出し、部数(単位:万部。ABC06年7〜12月平均)を記載。見出し冒頭の「社     説」「論説」の記載は省略した。
   (3) 新聞は、日本新聞協会が収集したもの、45社47紙。

[1]○9条を中心に「護憲」:18社20紙 合計約1,804万(全体の41.5%)

朝日新聞   提言日本の新戦略地球貢献国家を目指そう 社説21                      806
         <総論>
          1 地球貢献国家世界のための「世話役」になる
         <地球と人間>
          2 気候の安全保障「キョート」を地球保全の原点とする
          3 省エネ社会新技術を活用し、集中型から分散型へ
          4 原子力と核核廃絶と温暖化防止の二兎を追うべきだ
          5 化石燃料省エネと消費国の連携で、石油危機を防ぐ
          6 食料の安全保障貿易協定に日本への優先的供給義務づける条項を
          7 アフリカ支援置き去りにすれば、問題が世界に拡散する
         <グローバル化とアジア・イスラム>
          8 経済のグローバル化弊害と向き合い、上手に果実を増やす
          9 通貨の安定アジア版「ユーロ」を遠くに見据える
         10 東アジア共同体開かれた統合にし、アメリカとも連携する
         11 アジア新秩序日米中の首脳会談を定例化しよう
         12 隣の巨人「開かれた巨人」へ、法治と透明化を
         13 イスラムとの付き合い「文明の対立」回避へ、日本の出番だ
         <憲法9条と平和・安全保障>
         14 日米安保国際公益にも生かし、価値を高める
         15 自衛隊の海外派遣国連PKOに積極参加していく
         16 人間の安全保障憲法前文にぴったりの活躍を
         17 9条の歴史的意義日本社会がつくりあげた資産
         18 9条改正の是非変えることのマイナスが大き過ぎる
         19 自衛隊平和安保基本法で役割を位置づける
         <日本の外交>
         20 ソフトパワーほっとけない。もったいない。へこたれない。
         21 外交力世界へ発信力を鍛えていく
中日新聞(東京新聞・北陸中日新聞)                                    343
       憲法60年に考える 上 イラク戦争が語るもの(1日)
          同     中 統治の道具ではなく(2日)
          同     下 直視セヨ偽ルナカレ(3日)
北海道新聞  憲法施行から60年 上 国家主義への回帰危ぶむ(1日)                    121
          同     中 九条を変質させていいか(2日)
          同     下 貧困を許さぬ生存権こそ(3日)
西日本新聞  憲法施行から60年 上 「不戦の思想」は色あせない(2日)                   85
          同     中 「立憲主義」の堅持が前提だ(3日)
          同     下 環境権を「露払い」役にするな(4日)
秋田魁新報(―)憲法記念日 再確認したい平和主義                             26
神奈川新聞  憲法60年 平和主義は未来への財産                              21
山梨日日新聞 憲法60歳 政治的思惑で改正しないで*                            21
信濃毎日新聞 憲法60年 上 論議を国民の手に戻せ(3日)                         48
        同   中 日米一体化が九条を壊す(4日)
        同   下 人権を守る思い新たに(5日)
新潟日報(△)還暦迎えた日本国憲法 新たな命を吹き込もう                         50
中国新聞   憲法60年 上 「改正」問う価値高める道筋探ろう(3日)                   71
         同   中 九条の行方「理想の灯」絶やすまい(4日)
         同   下 新しい権利立法や制度の充実こそ(5日)
徳島新聞(△)憲法施行60年 上 いまこそ原点に返って(3日)                       26
         同      下 「平和主義」を守りたい(4日)
愛媛新聞   憲法施行60年なし崩しの解釈変更は危険だ                           32
高知新聞   還暦憲法を考える 上 基本理念権力を縛るのかどうか(4月30日)                23
          同     中 安全保障九条損なう解釈変更(5月1日)
          同     下 時代の転換それは規制から始まる(5月2日)
佐賀新聞(△)憲法施行60年 改正の是非主権者に(後藤季男署名)                      14
熊本日日新聞(△)憲法施行60年 理念に立ち返るところから                         37
南日本新聞 憲法施行60年 改憲は一政権の思惑で進められない                        39
沖縄タイムス 還暦迎えた憲法 平和の理念揺るがすな                            21
琉球新報 憲法施行60年 9条を手放していいのか 平和主義の精神これからも                 20

[2]△9条を中心に「護憲的論憲:20社20」紙合計約889万部(全体の20.4%)

毎日新聞   平和主義を進化させよう 国連中心に国際協力の拡大を                    395
東奥日報   憲法施行60年 大事な大黒柱、改正急ぐな                           26
デーリー東北 時評60歳の憲法記念日 政治に翻弄される危うさ                        10
陸奥新報   憲法改正論議 「国民的合意」には程遠い☆                          5
岩手日報   憲法施行60年 解釈変更でゆがめるな                             23
山形新聞   憲法施行60年と改憲 政治的思惑で急ぐな*                          21
河北新報   憲法施行60年 今とこれからを考えよう                            50
茨城新聞   憲法施行60年 政治日程で改憲を急ぐな*                           12
上毛新聞(▲)憲法施行60年 政治日程で改正を急ぐな*                           31
北日本新聞(―)憲法施行60年 意義と役割をよく考えよう                          25
福井新聞   憲法施行60年 日本の姿しっかり考えて                            21
岐阜新聞   憲法施行69年 政治的思惑で改憲するな*                           18
京都新聞(○)憲法施行60年 立ち止まり、冷静に論議を                           51
神戸新聞   憲法施行60年 掲げた理想が揺らいでいないか                         56
山陽新聞(○)憲法施行60年 改憲の是非真剣に考えよう                           46
日本海新聞(▲)憲法施行60年 還暦迎え“周辺”様変わり*                         17
山陰中央新報 憲法施行60年 政治的思惑で改憲急ぐな* 17
長崎新聞   憲法施行60年 政治日程で改憲を急ぐな(5月4日)*                     19

大分合同新聞(▲)憲法施行60年 政治日程で改憲を急ぐな*                         23
宮崎日日新聞(○)憲法施行60年 政治的な思惑で改憲を急ぐな*                       23

[3]▲9条を中心に「改憲的論憲」:0社0紙合計約0部(全体の0%)

[4]■9条を中心に「改憲」:4社4紙合計約1,531万部(全体の35.2%)

読売新聞   憲法施行60年 歴史に刻まれる節目の年だ                          999
日本経済新聞 還暦の憲法を時代の変化に合う中身に                            286
産経新聞   主張 憲法施行60年日本守る自前の規範を                          216
          新しい国造りに宿題果たせ
北国新聞 首相が異例の談話 はやる気持ちを抑えて                             30

[5]―方向性不明の「論憲」:3社3紙合計約124万部(全体の2.9%)

福島民友新聞憲法記念日国民の視野に立った論議を                              20
下野新聞(▲)とちぎ発国民投票法案無関心だけは許されない                         32
静岡新聞(■)憲法60年あらためて考えよう                                 72

総計45社47紙約4348万部(100.0%)

(注)@紙名あとの(○△▲■―)は、今回区分が変わった新聞の昨年の区分。
   A今回は、05年あった福島民報(△)・山口(△)の2紙がなく、代わって同年なかった山形・茨城・岐阜・長崎の4    紙が登場。☆印部数は自社公称。
   B*印の10紙は、共同通信配信の論説資料に基づくものと推定される。

 このほか、5月3日前後の紙面に、各紙が独自で行った憲法世論調査の結果を掲載した主な事例が、次の通り確認できた。

 朝  日(5月2日) 9条「平和に貢献」78% 改憲必要58% 新権利望む 「自衛軍」支持は18%
 毎  日(5月3日) 改正賛成51% 反対19% 戦後の役割評価
 日  経(5月3日)「改憲に賛成」51% 2年前比3ポイント減「現在のまま」35%
 北 海 道(4月29日) 国民投票法案賛成大幅減32% 「改憲容認」微減70%
 南 日 本(4月28日) 性急な動き警戒=世論と国会、乖離進む
   同  (5月3日) 九条改正=賛否両派の差縮まる、60代反対49%、50代賛成43%
            改憲必要53% 不要25% 九条改正反対は44%
 沖縄タイ(4月29日)「戦争放棄」維持71% 9条保持改正派の倍
 信濃毎日(5月1日) 改憲「必要」50% 「不要」33% 九条改正には慎重
 琉球新報(5月3日)「9条堅持」学生の82% 県内学生255人調査
            護憲54%、改憲27% 集団的自衛権「行使禁止」72%
                                      以上