2009 archives
1 今後の気温上昇予測(09/07/15)⇒PDF
2008 archives
1 世界に広がる異常気象 地球温暖化進行で激化08/10/26
2日本で広がる異常気象 温暖化の進行で激化が予想08/11/26
4これまでの温暖化が関与している可能性のある被害と今後の予測(1)(PDF)09/02/22
歌川学/研究者/科学レポート(2)/日本で広がる異常気象 温暖化の進行で激化が予想08/11/26
最近、日本でも気温上昇が続き、高温記録の更新が続いている。2007年は埼玉県熊谷市、岐阜県多治見市で40.9℃を記録、1933年の山形市の記録を更新した。821の観測点のうち101地点で観測史上1位の記録を更新した。異常高温は熱中症などを増やし、老人や子供などの健康弱者に対しては健康被害に直結しかねない。
表ヒョウ 高温記録 | ||||
順位 | 都道府県 | 観測所 | 気温[℃] | 起日 |
1 | 埼玉県 | 熊谷 * | 40.9 | 2007年8月16日 |
〃 | 岐阜県 | 多治見 | 40.9 | 2007年8月16日 |
3 | 山形県 | 山形 * | 40.8 | 1933年7月25日 |
4 | 和歌山県 | かつらぎ | 40.6 | 1994年8月8日 |
〃 | 静岡県 | 天竜 | 40.6 | 1994年8月4日 |
6 | 埼玉県 | 越谷 | 40.4 | 2007年8月16日 |
〃 | 山梨県 | 甲府 * | 40.4 | 2004年7月21日 |
8 | 群馬県 | 館林 | 40.3 | 2007年8月16日 |
〃 | 群馬県 | 上里見 | 40.3 | 1998年7月4日 |
〃 | 愛知県 | 愛西 | 40.3 | 1994年8月5日 |
11 | 千葉県 | 牛久 | 40.2 | 2004年7月20日 |
〃 | 静岡県 | 佐久間 | 40.2 | 2001年7月24日 |
〃 | 愛媛県 | 宇和島 * | 40.2 | 1927年7月22日 |
14 | 山形県 | 酒田 * | 40.1 | 1978年8月3日 |
15 | 岐阜県 | 美濃 | 40 | 2007年8月16日 |
〃 | 群馬県 | 前橋 * | 40 | 2001年7月24日 |
17 | 埼玉県 | 鳩山 | 39.9 | 1997年7月5日 |
〃 | 大阪府 | 豊中 | 39.9 | 1994年8月8日 |
〃 | 山梨県 | 大月 | 39.9 | 1990年7月19日 |
〃 | 山形県 | 鶴岡 | 39.9 | 1978年8月3日 |
下線は1990年以降 *は自治体観測所 |
高温化にともない熱中症による死亡者数が増加している。1995年頃が高いほか、2000年以降、増加傾向にあり、400人もの人が亡くなる年もある。
1994年以前と死亡診断書の書き方が1995年に変化したこともあり、1994年以前とは不連続)。
図 熱中症による死者の推移
環境省「熱中症環境保健マニュアル」
熱中症は、右図のように日最高気温が上がると急激に増加する。最近の異常高温で日最高気温が都市部で頻発するようになり、熱中症の被害が以前にもまして懸念されるようになってきている。
図 熱中症による死者と日最高気温の関係
環境省「熱中症環境保健マニュアル」
都市部の異常高温の背景に、ヒートアイランドや各種気象状況とともに、温暖化の進行がある。2007年の日本の平均気温はは歴代4位の高さとなった。平均気温の歴代10位のうち9位までは1990年以降である。
これについては次号以降で詳しく紹介する。
「ゲリラ豪雨」、以前の気候では見られない、局所的な豪雨が頻発し、そのような名前で呼ばれるようになった。気象庁は数年に一度しかないような大雨(東京、愛知、大阪などでは1時間100mm、高知や沖縄の一部で120mm)の時に「記録的短時間大雨情報」を出して警戒をよびかけるようになった。
こうした豪雨は、大都市でも発生している。
2005年9月の低気圧による豪雨で、東京・杉並区を中心に1時間112mmの「息苦しい」雨を観測、床上浸水1500戸、床下浸水1000戸の被害が出た。
2008年8月5日の大雨では、山梨県の大月で1時間79mm、東京都千代田区でも59.5mmの雨が降り、都心では雨がコンクリート、アスファルトが多くあっというまに異常増水、豊島区で作業をしていた5名が下水に流され死亡した。
2008年8月末豪雨では、愛知県岡崎市で1時間雨量が146.5mmとなり、愛知県だけで床上浸水2300戸、床下浸水11000戸の被害が出た。
1時間80mm以上の雨を「猛烈な雨」としている。このレベルの雨は「息苦しくなるような圧迫感」「傘は全く役にたたず」「水しぶきであたり一面が白っぽく」なる状況で、雨による大規模な災害の発生する恐れが強い。従来から経験して来た「バケツをひっくりかえしたように降」り「道路が川のようになる」雨は、1時間30?50mm程度である。このレベルをはるかに超える雨が最近頻発し、従来から雨の多い地帯を超えて広がってきている。
図 全国および地域別の階層別降水量の経年変化
気象庁「異常気象レポート2005」
気象庁では1901年から2004年迄の降雨を最小から最大まで10ランクに分け、経年変化率を出した(右図)。階数 10つまり最強の雨が増え、弱い雨が減って、雨の極端化が進行している。
また、1時間降水量、日降水量の発生回数の統計をみると、強い雨の発生回数が徐々に上がっている。降水量自体は増えていないこととあわせて考えれば、ここでも強い雨が増えて、雨の極端化が進行していることがわかる。
表に、1時間降雨量の歴代20位を示す。その12までが1990年以降に生じているだけでなく、沖縄や四国、紀伊半島など台風の通り道や雨の多い地域とは違う、都市部などでも強い雨が広がっている。
都市部の豪雨は「ヒートアイランド効果」などのさまざまな要因がからんでいるが、将来の地球温暖化の影響を先取りしている。
各地の被害や将来の被害予測、対策にわたり、温暖化問題を考えて行く。