水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)不透明の時代➁ 17/01/06

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 1920年代末に始まった世界大恐慌は、29年に発生したウォール街大暴落に始まった、と言われている。この大暴落が起きる直前に不思議な現象が起きている。意外と知られていないが、株価が急騰しているのである。

 猫も杓子も、という言葉があるが当時はかつての日本のバブル期と同じように、ほとんどのアメリカ国民は株に手を出していたという。

 以前、小ブログで紹介したことがあるが「チューリップバブル」というものが1637年にオランダで起きている。「チューリップ狂時代」と冠されているが、世界で初めてのバブル経済の破綻事件で、よく取り沙汰される。

 珍しいチューリップの球根が、破格の値で取引されたという。球根1個で家が建った、とも言われている。オランダ国民はその投機に走ったのである。もちろん、〝球根経済〟が長くつづくわけもなく、ついに破たん。オランダ経済が、がたがたになったのはいうまでもない。同様に1929年のウォール街の大暴落は、予兆としてバブル株価暴騰が進行していたのである。

 翻って現代。どうも変である。景気が良いわけでもないのに株価が上がっている。トランプ次期米大統領が決まって、株価は下がると思われたが逆の現象となっている。日本の場合は、株が下がりそうになると年金積立金を投入して下支えするため、持ちこたえると言われるが、アメリカはそうではなさそうである。

 5日付の新聞に「日経平均は史上最高値に向かう」(週刊ポスト)という週刊誌の広告が大見出しで躍っていた。何やら怪しいが、もしも恐慌の前ぶれとして株高騰が法則化していたとしたら、軽視できない。

 逆に株下落で見ると、最近では2008年9月に起きたリーマン・ショックは記憶に生々しい。アメリカの投資銀行だったリーマン・ブラザーズが破綻し世界的な金融危機が発生したのである。その影響を受けて、日本では日経平均で6000円台にまで株価は落ち込んだ。

 この事態について、1920年代の世界恐慌と比べたらどうなるか、という質問に、名前は忘れたが「今回(リーマンショック)はまだ自殺者がでていないから、あの頃よりはまし」と答えたアナリストがいた。大恐慌の発生は自殺者を出すのである。

 景気も良くないのに株価が上がり続ける日本。週刊ポストが報道するように、史上最高値の株価になるのだろうか。かつての世界恐慌の歴史を見れば、この傾向は喜ぶわけにはいくまい。全く先を見通せない、不透明さが漂っている。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
オスプレイ、空中給油を再開。墜落原因不明なのに、政府は「安心」。この国、どうかしている。



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