水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)不透明の時代③ 17/01/09
「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
次に政治状況をみてみたい。これもまた不透明である。
まず、日本。安倍暴走政治はますます狂暴化している。海外に行って、「円借款」なとど言いながら、バラマキを続けている。アフリカへの3兆円は、破格であった。まるで、打ち出の小槌を持っているかのようだ。そのカネはどこから出るのか。企業が出す訳はなく、国民からにほかならない。
そのカネを捻出するためと思われても仕方のない、年金カット法の強行や、介護切り下げ、高齢者医療費の負担増などにみられるように、福祉予算をひたすら削りつづけている。それは一方で、予定していた消費税増税が出来なかったことへの〝幼児的意趣返し〟にも映る。
解散・総選挙問題は霧の中だ。3月までに行わなければ10月以降になる。7月には都議選があり、公明党が困ったことになるからだ。10月以降ということになれば、選挙区割りを余儀なくされる。この問題は自民党内部でも、現役議員にとっては死活問題でありもめること必定。いや、暗礁に乗り上げかねない。
沖縄の辺野古新基地建設と高江のオスプレイ・パッドの建設強行も目に余る。県民の総意は「新基地建設ノー」なのだ。それは、先の総選挙と参議院選挙で(比例区を除いて)自民党の沖縄出身国会議員がゼロになったことに象徴される。にもかかわらず、アメリカ追随の政策はますますひどいものとなっている。
TPP(環太平洋経済連携協定)の批准もひどかった。アメリカの大統領選挙の最中からトランプ候補はTPPからの撤退を言い続けていた。にもかかわらず安倍政権は批准をゴリ押しした。あれはどういう意味があったのか。不可解である。
この問題で、私は出来の悪い飼い犬・ポチを引き合いに出して例えた。散歩の時、飼い主より先に歩く犬は駄犬とされる。賢い盲導犬をよく観察してほしい。必ず飼い主の横に寄り添い、一緒に歩く。ところが出来の悪いポチは、飼い主を引っ張るように先を歩くのである。
TPPで見せた日本の対応はまさにこれで、飼い主=アメリカをなんとか引っ張り込もうとして、先を歩いたのである。ニッポンは駄犬・ポチを演じたのだ。それを糊塗するために、安倍首相は他国に先駆けてトランプ氏に会いに行った。これもまた、そこまでアメリカに服従するのかと思いたくなる、〝笑止行動〟だった。
昨年11月、戦争法(安保法制)がついに発動された。自衛隊の南スーダンへの新たな派遣がそれだ。今回はそれまでのPKO派遣と違い、〝駆け付け警護〟という名を冠して、武器使用を認めたのである。南スーダンはどう見ても内戦状態である。そこに武器使用を許可された軍隊が入るということは、事実上、戦闘行為を認めたことである。
戦後71年間、日本は戦闘行為で相手を殺すこともなかったし、殺されることもなかった。それは憲法9条に依るところが大きかった。今回の南スーダンへの派遣は、もしかしたら、ついに戦後初めての戦死者が出る可能性がある。それは同時に憲法9条の〝死〟でもある。
安倍暴走政治の先行きは不透明である。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
釜山の日本総領事館前の少女像設置に抗議して、駐韓大使が一時帰国。大人気ないなー。