水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)〝ポスト真実〟② 17/01/18
「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
この現象は、日本に限ったことではない。最大のものは昨年のアメリカ大統領選挙に起きている。トランプ候補の発言が明らかに事実と違っているにもかかわらず、まかり通ったことだ。アメリカメディアのなかには4分の3がウソだった、と伝えているものもあるという。オックスフォード辞典はトランプ発言を総称して「ポスト真実」という新しい言葉を生み出したと言われる。
この問題で古くを訪ねれば、ヒトラーの側近、ヨーゼフ・ゲッペルスの「ウソを100回も重ねると本当になる」という言葉を想起させる。この言葉の翻訳は若干違うという。技術コンサルタント:中村 友一氏のブログ「雑多な事」(http://techpr.cocolog-nifty.com/nakamura/2011/06/post-5fef.html)2011年6月のもので、その件について述べられている。
英語を翻訳すると「もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。嘘によって生じる政治的、経済的、軍事的な結果から人々を保護する国家を維持している限り、あなたは嘘を使える。よって、国家のために全ての力を反対意見の抑圧に用いることは極めて重要だ。真実は嘘の不倶戴天の敵であり、したがって、真実は国家の最大の敵だ。」ということになるという。
今回のテーマをこれに引き写してみると、実にしっくりする。2011年のブログだから、6年も前になるが中村氏は「ポスト真実」について見通していたことになる。この翻訳を少し分解してみよう。
「十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。」この部分が〝100回繰り返せば〟というふうに転嫁したものと思われる。ヒトラーが繰り返したウソが、事実のようにドイツ国民には映ったのではなかろうか。
「嘘によって生じる政治的、経済的、軍事的な結果から人々を保護する国家を維持している限り、あなたは嘘を使える。」という部分はすごい。つまり一般市民の嘘は否定されるが、権力(国家を維持)を持った者の嘘は使える、と断じているのである。
そして次の部分は恐怖すら感じる。「国家のために全ての力を反対意見の抑圧に用いることは極めて重要だ。」これも思い当る。安倍政権が反対意見を封じるために『特定秘密保護法』を制定したことはこの間私たちが学んできたとおりであり、これから国会に提出されようとしている共謀罪もこの範疇に入る。
極めつけは「真実は嘘の不倶戴天の敵であり、したがって、真実は国家の最大の敵だ。」という部分だ。「真実が不倶戴天の敵」という規定は、まさにファシストの思考回路と言える。真実を国民に知られては困るからだ。「ポスト真実」という新しい言葉は、ヒトラーがたどった道と同じように、トランプや安倍に通じるものと言えよう。(次回につづく)
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