水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)戦争と共謀罪① 17/02/02

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

  テロ対策の名前を冠して、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)法案がまたしても国会に上程されようとしている。恋人どうしの語らいも、ご近所主婦のお茶飲み会も、戦争法廃止を考える集まりも、そして労働組合の執行委員会も当局が〝犯罪準備の共謀〟と判断すれば適用されてしまうという恐ろしい法律だ。

 それゆえに、過去3回にわたって廃案になったシロモノである。それをあえて再提出し、「強行採決病」という〝中毒〟にかかったあの人たちは、しゃにむに通そうとしている。許せないのは、公明党の態度だ。対象を絞り込めばOKだという。何を考えているんだ、といいたい。

 安倍政権が、なぜここまでこだわるのか、以下、考えてみたい。

 戦争を行うには、大きく3つの要件があると私は考えている。①経済的行き詰まりの打開②軍事同盟も含む戦争できる軍事力の存在③国民を戦争に駆り出す戦時体制の確立――がそれである。

 経済的行き詰まりの打開策としての戦争は、古今東西、歴史が示しているとおりだ。それを現代に引き写してみると、恐ろしいほど第2次世界大戦の前夜と似ている。1929年のウオール街の大暴落を引き金として始まった世界恐慌は、一直線に戦争につき進んだ。

 この時期、アメリカは不思議な現象が起きていた。不況にもかかわらず、株価は異常な高騰を続けていたのである。このとき、投資家のジョセフ・P・ケネディは、靴磨きの少年から株を買った話を聞いて「これは危ない」と思い、売り抜けて巨万の富を作ったといわれる。この人こそ(暗殺された)ジョン・F・ケネディ米大統領の父親であった。その富が息子を大統領にするための力になったという。

 そこで現代。トランプ人気とやらで、アメリカの株価は史上最高値を更新し続けている。これは危ない。日本では、アベノミクスが破たんした。それを誤魔化すために、新しい「矢」を次々と放っているが、ことごとく的外れで財政赤字は増加の一途である。ヨーロッパでも、イギリスのEU離脱に代表されるように、事態は深刻である。

 世界経済は、いつか来た道を辿っていると言えないか。

 軍備力についても、日本は〝聖域〟として膨張し続けてきた。最近、アメリカは日本の軍事費について、GDPの1%を確保すべきだと言い始めた。他国への内部干渉であり大きなお世話だが、戦争できるだけの軍備力を持ったことは疑いない。

 そして、3つ目の戦時体制づくりである。この中に「共謀罪」が含まれる。この問題をもう少し深めてみよう。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
トランプ大統領の「円安誘導」論にアベ首相めずらしく反論。「企業が世界一活動しやすい国」のためだね。



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