水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)
「ヘボやんの独り言」より転載
韓国訪問レポート⑥ ソウルあれこれ 17/04/25
ソウルの人たちと立ち入った話しをする機会はなかったが、滞在中に感じたことをいくつか紹介しよう。
まず、電車。運賃は韓国も日本と同じように前払いだが、切符はなく目的地まではタッチ式のカードを買うことになる。このカードを使わなくなったら、カード代金だけ返してくれるという。もちろんチャージは自由だ。1万ウォンのチャージで実質的に2日間、乗降できた。安い。タクシー代も安かった。
電車に乗ったら立っている人がいるにもかかわらず、空いている席がある。妊婦専用の席だ。当事者以外は誰も座らない。加えて日本でいう優先席もある。白髪の私に若者が席を譲ってくれた。日本ではあまり目にしない光景だ。ナヌムの家のハルモニたちもそうだったが、年寄りが大事にされている。上海でも同じように、若者は必ず席を譲ってくれるというが、儒教の教えが徹底されているのか、習慣の違いか。
車内でスマホや携帯電話を使っている人の様子を観察した。日本では8割くらいが、必ずそれらをいじっている。ソウルは逆だ。使っているのはせいぜい2割程度。普及率は韓国も日本も同じくらいだという報道を読んだ記憶があるが、マナーとしては韓国が上だ。
地下鉄にガスマスクが置いてあるのには驚いた。どうも「北」対策らしい。絵図入りでマスクの使い方が説明してあったが、やや不気味。マスクの数は地下鉄利用者の量からすれば、とても賄えるものではないが、置いておくことで安心感が保てるのであろう。このマスクを使うことがないように祈りたいものだ。
【地下鉄に備えられたガスマスク】
物価は円に換算しても日本よりやや低いか、と感じた。コンビニの「セブンイレブン」がやたら目立った。ここで円からウォンへの交換をしてくれる所もある。ホテル近くのそこは、手数料を取らないと書いてあり、得した感じを受けたものだ。
泊まったホテルの位置する明洞は繁華街だ。歩いていると流ちょうな日本語で「偽物のバッグを売ってるよ。全部偽物だよ。買って行かないか」と声をかけられた。偽物を売りにしていることについ笑ってしまったが、われわれが日本人だということが、どうやって分かっのか不思議だった。この繁華街、夜になると屋台が出る。日本でいえば、新宿の歌舞伎町の通りに屋台が並ぶようなものだ。面白い。
食べ物は相対的に甘くできている。焼き肉のタレも、麺類の汁も、コーヒーも。ナヌムの家で所長から話を聞く間にコーヒーが出されたが、すでにミルクと砂糖が入っており甘かった。強めの〝甘さ〟は韓国人の習慣なのかもしれない。そういえば、焼酎のアルコール度数は日本酒並みだった。
【市役所前の右翼のテント】
【セウォル号犠牲者の抗議行動を続けるテントの中の写真】
ソウル市役所前の広場は、右翼がテントを張っていた。抗議行動をやっているらしい。100万人集会が開かれた大通りには、転覆したセウォル号の遺族が抗議のテントを張っていた。高校生だろうか、子どもたちの集合写真が貼ってある。経産相前のテントを撤去させた日本と違って、おおらかである。占領時代の日本へのそれを含む〝抵抗運動〟への寛容さなのかもしれない。私はいつの間にか、韓国贔屓になっていた。
(おわり)
★脈絡のないきょうの一行
政府、名護市辺野古移設の埋め立てに関係する護岸工事に着手。またしても暴挙だ。
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