水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)
「ヘボやんの独り言」より転載
責任の取り方、首相より復興相の辞任のほうが分かりやすい 17/04/26
今村雅弘復興相、「自己炎上」したね。辞任は自己責任であり当然の帰結だ。ここまで放置した安倍内閣にこそ問題がある。にもかかわらず、メディアはそこに触れようとしない。アベがこわいのか。
がしかし、よくよく考えてみると復興相より首相のほうがもっとひどいことを言っている。首相の発言は〝失言〟扱いになっていないが、今村さんよりタチの悪い発言をしているのではないか。その典型が、今村発言のあとの「任命責任は(自分に)ある」という弁明だ。
確かにすべての大臣など行政の責任者は首相が任命する訳だから、任命責任は首相にある。その意味において今村復興相の任命責任は、安倍晋三首相にあるのは紛れもない事実。そのことをさらりと言ってのけたところまでは、良しとするが「責任」をどう取るのか、という言及のないところをみれば、これは得意のインチキ発言としかいいようがない。
もともと責任を取る、というのは何らかのペナルティーがつきものだ。一番重い責任の取り方は、自らが首相を辞任することだ。さらに減給や戒告、訓告、口頭注意などがある。ところが安倍首相は自らの責任の「取り方」(ペナルティー)について何一つ示していない。これは承服しがたい。考えようによっては、この方法も〝ポスト真実〟に類するのかもしれないが、言っていることとやっていることのアンバランスは甚だしく、分裂症を疑いたくなる。
改めて首相の〝失言〟問題を振り返ってみよう。たくさんあり過ぎて選ぶのに迷うが、福島第一原発の「コントロールされている」発言からみてみたい。これは2013年9月、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会の場で、2020年のオリンピックを東京に招致するために発言したものだ。
現実はどうだろうか。コントロールされていないばかりか凍土壁の失敗など、放射線はダダ漏れ状態ではないか。この発言は当時からウソだということは分かっていた。が、メディアはそのことを批判しなかった。このウソは世界を騙したのだから、罪は復興相の発言より重い。
そして強行採決問題。昨年10月17日の衆院TPP特別委員会で「我が党において、いままで結党以来、強行採決をしようと考えたことはないわけであります」と言い放ったのである。あまりにも凄すぎるウソに、嗤うことすらできなかった。
極めつけは、アベノミクスだろう。破綻していることは誰の目で見ても明らか。しかし「道半ばだ」と言い張って、失敗を認めようとしない。日本経済は(ヘンな表現だが)真綿で首を締められるように奈落の底に堕ちつつある。
「ポスト真実」などの言葉に惑わされず、安倍晋三首相の〝ウソ=失言〟にこそ批判の矢を向けるべきではなかろうか。メディアに注文したい。
★脈絡のないきょうの一行
トランプ米大統領「メキシコ国境の壁建設で、政府予算と支持者との板挟み」(毎日新聞ウェブ)だって。壁は土塁だから板ではなく「土挟み」じゃないかい?
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