水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

再開しました   18/01/01

 昨年の5月9日以来しばらくブログを休んでいました。理由は、やや、疲れたからというのが本音です。「疲れた理由は?」と問われたら、「武士の情けで回答はご容赦を」と答えさせてください。

 新しい年が始まった。きな臭さが強まる昨今、「戦争させない」ための身の処し方を改めて考えている。昨年暮れにパソコンを買い替え、セッティングをしたのだが久しぶりにやったため、かなり戸惑った。結局、年末に遊びに来た息子夫婦に手伝ってもらう羽目に。さすがに若夫婦、強い。

 昨日、部屋の片隅でほこりをかぶっていたDVDを引っ張り出し、かみさんと一緒に映画鑑賞をした。小津安二郎による1953年制作の「東京物語」だ。原節子、笠智衆、東山千栄子らが出演している。山村聰、東野英治郎、沢村貞子、大坂志郎などなつかしい顔も出てくる。行方が分からなかった原節子も含めて、これらの人々はすでに鬼籍に入っている。

 この映画のリメイク版として2013年に「東京家族」として山田洋二によって制作されている。この映画もかみさんと一緒に観に行った。こちらは蒼井優、橋爪功、吉行和子らが出演。「物語」との違いは、原節子の恋人は戦死しているが、蒼井優の恋人は現存し妻夫木聡が演じている。

 DVDを観ていると、時間のゆるやかさに驚いた。64年も前の作品でモノクロということもあるのだろうが、実にゆったりとしている。現代の世知辛い、秒単位で動いているような気分と違って、考えさせる時間をたっぷりとってある。登場人物の思いが、ひたひたと迫ってくる。その心持ちが心地よい。

 出てくる街並みも興味深い。映画が作られたころは高度成長期に入っていく過程だが、煙突から上がる煙がその後の公害を暗示している。小津はそこまでは考えていなかったのかもしれないが、何故か私はそこに惹かれた。時代を見事に切り取っている。

 熱海のシーンもいい。私が初めてそこを訪ねたのは学生服を着用していた1963年だった。そのときの風景が出てきてタイムスリップしたような気がしたものだ。「東京家族」も50年後に光を放つのかもしれないが、映画の良さはそういうところにもあることを改めて感じたものである。

 あわただしい年末のひととき、1枚のDVDが癒してくれた。

★脈絡のないきょうの一行
今年は戌年。戌は「滅びる」につながるというが、「新しいいのちを守る」という意味もあるとか。そんな年にしたいものだ。


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