水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

労働組合としての今年の課題②改憲問題1     18/01/05

 次は改憲問題だ。安倍政権は、22日から始まる通常国会で改憲発議をしようとしている。「18年中にはないのではないか」という意見もある。とすれば19年になるのか。それは難しい。この年には平成天皇の退位があり、参議院議員選挙が行われるからだ。

 「退位」というある意味、一大イベントともいうべき動きと改憲を重ねることは、国民感情にそぐわない。参議院選挙と同時に国民投票、という考え方もある。が「国民投票運動」と「国会議員選挙運動」は質が違い難しい。極端に違うのは、家庭訪問について国民投票法では認められているが、公職選挙法は禁止されている。そういう質の違ったものの運動を同時期に行うことは無理がある。

 それでは、国政選挙と改憲の国民投票の日程をずらせばいい、という意見がでてくる。これもまた困難といえる。「国民投票」を年に2回やることはそれだけの費用がかかるし、国民からの抵抗が予想される。

 それゆえだろう、4日の会見で安倍首相は「年内改憲実現」を打ち出した。なみなみならぬ〝決意〟のようだ。レース前の発馬機に入った馬のように、かなり興奮状態ですぐにでも走り出せる態勢になっている。今の首相の心境を読めばこんなところだろう。改憲の内容は、昨年5月の憲法記念日の発言をもとにすれば、9条に自衛隊の存在を明記する、というのが重要な争点になるだろう。

 すこし遡ってみたいが、自民党は2012年に「改憲草案」を発表している。9条を形骸化し、「家族」を重要視し、国民が憲法を守ることを義務化するなど、国民的自由を束縛する内容となっている。これが、改憲案の下敷きとなるのは容易に想像できる。

 さらに2013年に、改憲のための地ならしとして96条を変えることを提起した。この条項は改憲のためには現行では衆参両議員の3分の2以上の賛成がなければ発議できない。このハードルを低くするため、2分の1を提起したのだ。さすがにこれは改憲を主張する学者の間からも反対の声があがり、瞬時に消えた。

 そういう動きのなかで今年、本格的に改憲に手をつけようというのだ。取沙汰されているのが9条の扱い。先述したように昨年5月には9条そのものは残し、9条に第2項目を新設して自衛隊を明記するという。

(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
首相、きょうの自民党の仕事はじめで「改憲は歴史的使命」と発言。やはり前のめりだなー。


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