水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

慰安婦問題の「日韓合意」を考える①      18/01/16

 慰安婦問題に関する2015年12月28日の日韓合意について、韓国側から新たな措置を求めることを提案された問題で、安倍首相は「合意は国と国との約束で、これを守ることは国際的かつ普遍的な原則だ。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」と表明した。国と国の間での取り決めについて、変更あるいはキャンセルはあり得ないのだろうか。

 結論的には「あってもいい」というのが私の意見である。なぜなら政権が代われば、ものの見方や価値判断が変わるのは当然だし、それに沿った運営(政策)がなされることはあり得ることだからだ。

 この慰安婦問題は合意された経過をみても、中身においても小さくない問題をはらんでいる。最大の問題は、当事者のハルモニたちの思いや意見が反映されていない点だ。本音で言えば韓国側はあの合意を破棄したかったはずだ。しかし日本との国交を考えたうえで、破棄しないで日本側に再考を求めた形になっている。韓国のほうがよほど〝大人〟だと言える。

 何が問題だったか。一言でいえば、当事者抜きの合意だったからである。昨年3月、ソウルに行き元慰安婦のみなさんが共同生活している「ナヌムの家」を訪ねた。そのときナヌムの家のスタッフのみなさん、そしてハルモニと懇談した。こちら側から注文した訳ではないが、日韓合意について話題になった。

 当時の政府関係者は突然ナヌムの家に来て「日韓合意が成立しました。それに基づいて補償金を支払いたいので、銀行口座と確認のサインをしてほしい」と言ったという。政府間で合意の内容を検討する際、ナヌムの家のハルモニたちには何一つ相談はなかったという。スタッフは「一方的なあの合意は承服できない」と否定した。ハルモニたちも一人としてサインしていないし、銀行口座も教えていないという。

 ナヌムの家の関係者だけでなく、市民の間にもこの合意に批判する声は少なくない。『2016年9月には合意に反対している「共に民主党」所属の姜昌一議員(日韓議員連盟幹事長)はインタビューで「(合意は)国家を拘束する条約や協定ではなく、安倍(晋三)政権と朴槿恵政権の約束にすぎない」として「両政権がやったことだから、再交渉の必要はないが、われわれは認めていないと主張」』(Wikipedia)しているという。

 この発言が今回の韓国側からの提案のポイントになりそうだ。

(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
安倍首相、ICANの代表との面会を拒絶。相変わらずの幼児対応だね。恥ずかしい。


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