水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)
「ヘボやんの独り言」より転載
1月23日に前触れもなく突然噴火した本白根山(2,165M)。この山には1997年8月5日と2003年7月27日の2回登っている。両方とも夏場であったが、これには理由があった。コマクサを観るためだ。この山はコマクサの育成に力を入れており、あちこちに群落を見ることができる。特に今回、噴火のあった地点近くはすばらしい。
97年のときは今回の噴火で話題になったロープウェイの頂上駅まで車で入れたが、03年時は国道沿いの大駐車場までしか入れなかった。したがって、初回は1時間半で山頂往復を果たしている。とはいっても、2回目の03年も2時間5分しか歩いておらず、「百名山」登山としては楽なほうである。
03年の記録を引用してみる。
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カラ釜と呼ばれるガレ場の斜面に、コマクサが群生している。5年ぶりに訪ねたわけだが、前回はこんなに多くはなかった。意図的に育てていることがよく分かる。こういう努力があってこそ、コマクサが生きていけるのだ。何やらその光景に嬉しくなる。
本白根山の最高点まで歩く途中にも、コマクサとヒメシャジンの競演を見ることができる。赤のコマクサと、青がかった紫色のヒメシャジンが奇妙にミックスしている。それらの写真を撮りながら、のんびりと歩く。最高点には先客が休んでおりその傍らで一休み。
早い時間に登り始めたことが功を奏したようで、下山中、かなり多くの団体とすれ違うことになり、混雑を避けることができたことに安堵感を味わう。登山客のほとんどはコマクサが目当てであることはいうまでもない。駐車場にもどり、万座温泉で汗を流して帰路についた。
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【コマクサ】
【ヒメシャジン】
これを書こうと思ったのは、「多くの団体とすれ違った」という部分を強調したかったからだ。あの噴火が真夏であったら、御嶽山の噴火(2014年9月27日/死者・行方不明者63人)の比ではない大惨事になった可能性があった。
本白根山は御嶽山と違って登りやすく、高山植物の女王・コマクサを見ることができるため人気の山なのだ。前述の団体のなかには夏休みということもあったのだろう、子どもたちがたくさん混じっていた。
97年に登った時は、カラ釜を一周したため「鏡池」の縁を歩いているが、ここは今回噴火した真横にあたる。もしあのとき噴火していたら、と思うと背筋が凍り付く。山とはそういうものであり、今回の噴火は真冬であり、登山客がいなかったことが(亡くなった方には申し訳ないが)犠牲者を少なくしたと言える。いずれにしろ、登山にはそういうリスクが付き物であることを肝に銘じておく必要がある。
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