水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

またまた、アメリカの代弁?    18/02/13

 13日、時事通信が「韓国大統領の訪朝けん制=菅官房長官」という記事を流した。韓国・文在寅大統領の訪朝について「ほほ笑み外交に目を奪われてはならない」として、北朝鮮の策略であるかのような発言をしている。これは明らかな介入である。

 その前段(という言い方は変かもしれないが)、10日に安倍首相が、米韓合同軍事演習について五輪後の再開要請をしたことに対して、文大統領は「内政問題だ」として不快感を示したことが報道されている。10日と13日のこの問題、考えてみたい。

 まず、10日の発言。合同演習はアメリカと韓国の問題であって、他の国が口出しできる事案ではない。にもかかわらず安倍首相が〝要請〟したことは、イレギュラーそのものであるし、韓国大統領が目の前にいたがアメリカに対する要望でもあった。トランプ大統領がこの件について何も発言しないのはやや不気味。〝自分の代わりに安倍が言ってくれた〟くらいに思っているのだろうか。

 もしそうだとしたら、これまた問題である。第三国から(米韓)二国間の合同軍事演習について「五輪後にやってはどうか」という提起は、当事者国の内政に干渉することになるからだ。そういう重要問題について、あの、トランプさんが何も言わないのはやはり変。

 その後、北朝鮮・金正恩氏の妹が文大統領の訪朝を提案した。これについて韓国側は積極的に受け止めていた。これに対して菅官房長官は否定したわけだ。これまた、内政干渉ではないのか。

 逆を考えてみよう。アメリカが北朝鮮から首脳会談を呼びかけられたと仮定する。そしてアメリカがそれを積極的に受け止めた場合、日本はどういう態度をとるか、である。今回の韓国への対応と同じになるだろうか。ノー、である。おそらく、〝大歓迎〟したであろうことは容易に想像できる。

 としてみると、浮き上がってくる問題が見える。つまり、日本はアメリカの代弁をしているのではないかという疑義である。アメリカは①五輪後すぐにでも米韓合同演習をやりたい②米を素通りした「韓・朝首脳会談」は反対である。しかしそのことを言い出すことは内政干渉にあたる。そこで、日本にそのことを言わせた――という筋書きである。

 考え過ぎかもしれないが、沖縄問題を引き合いに出すまでもなく、アメリカいいなりの日本政府の体質がオリンピックでも露呈した、ということになる。同時に、今回の五輪外交でいえば北朝鮮のほうがよほど優れている、と見るのは私だけだろうか。

★脈絡のないきょうの一行
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