水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

ほほ笑み外交、安倍晋三VS金正恩。どちらに軍配?    18/02/17

 平昌五輪で、北朝鮮の応援団や政府代表に対して「ほほ笑み外交」という言葉が使われている。そりゃなんじゃと調べてみたら、あった。以下。

 「外交において首脳が強面ではなく微笑みを携えて外交に取り組むこと。すなわち、友好的・協調的な柔和な物腰で他国と接する(ように振る舞う)外交姿勢あるいは外交戦略のこと。微笑み外交は、必ずしも衷心から協調を求める姿勢を意味するとは限らない。強硬姿勢から協調姿勢への転換という意味でも用いられ得るが、むしろ、表面上は友好的で協力的であるかのうように装いつつ、搦め手から付け入る隙を窺うような姿勢を示唆する語として用いられやすい。」(新語時事用語辞典)

 なるほど。この説明だと、安倍総理大臣の外交そのものである。財界代表を引き連れて開発途上国訪問のときのあの笑顔は忘れられない。国会で見せたことのないそれは、背筋に冷たいものが走った。しかも笑顔を振りまくだけでなく、カネもばらまく。その姿は〝カネつきほほ笑み外交〟と言ってもいい。

 安倍ほほ笑み外交は、下心が見え見えである。国連で常任理事国を果たしたいこと、そして日本製品を売り込むことである。売り込むモノの中に原発も入っている。あの笑顔の下にどくろマークが入っていると思えば、度し難い不快感が走る。

 一方の金正恩ほほ笑み外交はどうか。前出の新語時事用語辞典は「首脳」(日本の場合は安倍首相)が主語になっているが、平昌五輪は「応援団」と「金正恩の妹」を指しており少し外れる。が、金正恩が指示しているとすれば、同じだとみていいだろう。

 で、この二つを比較してみよう。安倍晋三VS金正恩。私は金正恩に軍配をあげる。五輪ではほほ笑みで応援したし、南北朝鮮の首脳会談をほほ笑みのなかで提起した。これは見事である。美男子の面を持った応援はいただけなかったが、それを除けばそれこそ微笑ましかったではないか。

 ところが日本のメディアは、そのほほ笑みの下に隠されたものがあるかのような報道に終始している。露骨に「北朝鮮に騙されるな」という論調もある。それはそれとして言論の自由であるから一向にかまわない。それと同じ目線で、安倍ほほ笑み外交を批判してほしいものだが、こちらはダンマリ。どうも公平ではない。

 穿(うが)ちすぎと批判されるかもしれないが、日本のメディアは南北朝鮮の統一を嫌っている向きがある。統一されると一番困るのはアメリカ。なぜなら標的とする「ならず者」がいなくなるからだ。ならず者がいなくなると、武器を作る理由がなくなる。武器を作らないと武器を作っている企業が困る。この因数分解、お判りでしょう。もしかしたら、日本のメディアはアメリカに阿(おもね)ている? いやいや、そんなことはないと思いたい。

★脈絡のないきょうの一行
平昌五輪で男子フィギュアスケート、日本が金と銀。快挙であり喜び合いたい。


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