水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)
「ヘボやんの独り言」より転載
韓国(大韓民国)と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が統一することは、両国にとって悲願であることはご承知のとおり。未だに家族が南北に別れて暮らしている人もあるという。それを解消することは感情としても頷ける。そのために韓国側も努力を重ねてきている。
核問題や拉致問題は軽視してはならないが、そのことと南北朝鮮の統一は別次元である。それを混同しているところに、日本政府の対応の誤りがある。言い方を変えよう。統一問題は内政問題であり、核や拉致問題は国際政治の問題なのだ。後者について日本がモノを言うのはあっていいことだが、内政について口出しすることは干渉に当たる。
その国際的な問題について、安倍首相は「対話のための対話は意味がない」として北朝鮮との話し合いを拒否し続けている。実はこれ、拉致問題を解決する気がない、と同意語と言えないだろうか。最近、拉致問題について〝1センチも前進がない〟のは、話し合いを拒否しているからに外ならない。
一方、アメリカはひたすら北朝鮮を批判している。これには背景がある。先日の小ブログにも書いたが、アメリカは常にどこかの国を「ならず者」にしておく必要があるのだ。それはイランであったり、アフガンであったり、9.11のときのアルカイダだったりする。そして今は北朝鮮なのだ。
「ならず者」を名指しすることによって、それと対峙する目的を理由に、国内で武器を作ることができるし、それを〝消費〟する恐れもある。その体質を世界の国々は見破っている。だから北朝鮮への「経済的制裁」を提起しても、実効が上がらないのである。
ところで、北朝鮮の他国との国交はどうなっているだろうか。「2016年12月現在、国連に加盟している192の国のうち、26か国が北朝鮮と国交を結んでおらず、166ヵ国が国交を結んでいる。=北朝鮮まとめ情報=http://www.dprk-nk.com/archives/81」――ということになる。日本とアメリカ、韓国はこの中の26ヵ国に入る。
笑えるではないか。アメリカの言う「ならず者」国家と国交を結んでいるのは多数派なのである。アメリカの意図するところについて当の北朝鮮は先刻ご承知で、発言は過激だが、少なくともアメリカと戦争しても勝ち目がないことは知っているはずだ。
核問題を例にあげればこれを解決するには、対話しかないのだ。ところが日米両政府はそれを拒否している。対話の拒否は、北朝鮮の行為を暗に容認したことに通じるのではないだろうか。もう一つ考えなければならないのは、最悪の事態(戦争)に突入したら、犠牲者は北朝鮮、韓国、日本に集中するであろうことは火を見るより明らかであることだ。
平昌五輪で垣間見えた、北朝鮮攻撃の本質を見据える必要がありそうだ。だからと言って、敢えてお断りしておくが、私は北朝鮮の核開発や拉致問題を容認している訳ではない。遅からず横暴の限りを尽くす金正恩体制は、北朝鮮国民の手によって瓦解するであろうことも想像している。
★脈絡のないきょうの一行
裁量労働データの誤りは法律作りの根拠をなくした。「働き方改革」は、撤回しかない。