戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

初秋の秋吉台、萩、津和野を巡ってきた 17/09/30

明日へのうたより転載

 26日に宇品港のグランドプリンスホテルに前泊し、27日から29日まで第38回たまたま会で広島、山口、島根を回ってきた。萩、津和野は初体験、秋吉台は新婚旅行以来53年ぶり。足腰が痛いのによく歩いた。特に秋芳洞は足場の悪い上に暗くて登り降りがきつく参った。そう言えば53年前は秋芳洞なんて見なかった。どうも当時は見物コースが整備されてなかったみたいだ。疲れたけど面白かった。

 バスで秋吉台から萩に行く途中に長戸という日本海に面した集落があり、金子みすず記念館がある。26歳で自殺したみすずだが、たくさんの童謡と一緒にこの地に観光名所を残した。記念館のほかにみすず通りとかみすず公園とかもある。彼女の意図とは違うのかも知れないが名所としては全国区だ。
 
 萩は幕末志士の街で、でかい松陰神社がある。どうもおれはこの吉田松陰という人物は好きになれない。徳川幕府を倒す、つまり封建社会を打ち破って近代国家をつくろうとしたのだろうが、どうして天皇を引きずり出さねばならなかったのか。彼には国民主権という思想がなかったんだよな。

 第一他の志士は坂本竜馬にしても高杉晋作にしても銅像が立つくらいだが、何故松陰だけ神社なのか。神様なのか。多分明治から昭和20年までの天皇制軍国主義にとって重宝な存在だったんだろうな。そんなことも考えたので、みんなは松陰神社の神殿にお参りしたが、おれはパスさせてもらった。

 津和野が島根県とは知らなかった。山口県か兵庫県と思っていた。津和野へ着くとすぐ地元ガイドに森鴎外旧宅へ連れていかれた。何の変哲もない家だ。折から照りつける太陽で汗まみれ。立っているのが辛い。そこから歩いて殿町へ。通りの両側に掘割があり、片方の堀にばかでかい錦鯉が泳いでいた。

 1978年から39年、38回を数えるたまたま会もみんな年取った。それでも今回の参加者56人、夫婦で参加が10組、亭主が死んじゃった未亡人参加者も数人いる。おれは1995年の第16回からの参加だ。99年の鎌倉、浅草、05年の日光、裏磐梯、08年の箱根、15年の富士山麓周遊では実行委員をやった。

 もう止めようかという話が出ているが、まだやりたいという人もいる。大阪の街をまだ歩いていないのでできれば歩きたいの声。問題は誰が企画運営をやるかだ。来年やる人が出てくれば継続するが、駄目なら消滅、と確認して散会した。とにかく足腰の痛みでいろんな人に助けられた。ありがとうございます。