戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
「連合 組織分裂の懸念も」「衆院選『特定政党支持せず』決定」(6日付『毎日』)。「民進の前議員が希望の党、立憲民主党、無所属と三つに分裂して立候補するため、衆院選の結果とその後の情勢次第では最大の支持団体・連合も分裂含みになりかねず、組織内に懸念が高まっている」。
連合は特定政党を支持するということで組織としての求心力を保ってきた。それが民進党の崩壊・分裂で成りゆかなくなる。選挙は単産ごとに勝手にやってくれというんでは、じやあ連合の存在は何なんだとの疑問が出てくる。そもそも特定政党を支持して組合員に押し付けていたのが間違なのだが・・・。
連合が求心力を失うことになったもう一つの原因が例の「残業代ゼロ法案」を巡るゴタゴタだ。逢見直人事務局長が自民党に通じてそれまでの「反対」から「条件付き容認」に変節。これに連合内外から猛烈な批判の高が上がって結局元の「反対」に戻す。逢見氏は目の前にぶら下がっていた連合会長のポストをフイにすることになった。そればかりか連合は、自民党や財界の前に無様な組織実態をさらけ出す結果にもなった。これでは連合指導部に対する求心力がガタ落ちするのは当然だ。
さて連合と特定政党支持の話に戻るが、連合内には社会党を支持していた総評、中立労連と、民社党支持の同盟という二つの流れがある。それが政党の再編て民主党を経て民進党になった。一部社民党支持の組合もあるが、全体としては民進党一党支持で一本化できた。今回それが崩壊したというわけだ。
それにしても連合は労働組合らしいことをほぼ何もやらない。2年前の戦争法でも、今年の共謀罪でも全然影が薄い。政権が画策する「働き方改革(労働法規改悪)」にも毅然たる姿勢が見られない。まともな労働組合なら脱退したくなって当然だ。やっとそのチャンスが来たんではないのかな。
民進党が分裂して安倍政権打倒の図式が分かりやすくなり、「市民と野党の共闘」がやりやすくなった。今朝の『赤旗』に共産党小池書記局長の記者会見が載っているが、全国70の選挙区で野党候補一本化が進んでいるそうだ。民進党分裂は野党共闘にとってマイナスではなくプラスに作用しているのだ。
おれは80年代はじめから、労働運動の右翼的再編の動きを体験的に見てきたが、「反共と労使協調」の踏み絵を踏ませて、選別排除の結果生まれた連合は矛盾のかたまりだと思っている。民進党に見習って分裂した方が労働者・国民にとってプラスになるとおれは思っている。