戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
政局動乱の最中、10月4、5日と連合第15回定期大会が開かれた。連合の定期大会は2年毎の開催で今年は会長が交代するはずだった。それが例の「残業代ゼロ法案」を巡るゴタゴタで次期会長候補の逢見直人事務局長がずっこけて、神津里季生会長の留任になった。その上降ってわいた解散総選挙、支持政党の民進党が希望の党に身売りして解体してしまった。異例ずくめの大会開催というわけだ。
2日間の大会の模様が、連合ホームページの『連合ニュース』で発信されている。大会参加者は傍聴者を含め1600人。国際自由労連(ITUC)シャラン・バロウ書記長、ITUC太平洋地域組織(ITUC-AF)吉田昌哉書記長、OECD労組諮問委員会(TUAC)ピエール・ハバード事務局長をはじめ、28組織38人の海外代表が出席。今回は政党代表の来賓は招くことができなかった。
神津会長は挨拶で今回の解散総選挙に触れ「大義なき、究極の自己都合解散と断じざるを得ない。長時間労働の是正に向けた、罰則付き時間外労働の上限規制や、雇用形態間の格差解消の遂行に向けた今国会での法案審議は反故にされた」と述べた。一方「我々の思いとは真逆の内容までもが、労基法改正の法案審議に取り込まれていることは非常に遺憾であり、残念」とも強調する。
この会長挨拶には「働き方改革法案」への対応が方針として揺れていることが顕われている。安倍政権が「働き方改革」の中心に据えた「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)を一度は「条件付き容認」の方針を出し、組織内外の総批判を浴びて再び「反対」に戻したがどうね迫力がない。
役員改選では、神津会長(基幹連合)の留任の他は会長代行に逢見前事務局長(UAゼンセン)、川本潤氏(自治労)を新しく選んだ。事務局長は自動車総連の相原康伸氏。相変わらず連合結成以前の同盟系の民間大単産が主導権を担っている。「反共と労使協調」路線はさらに続くことになる。
今回の大会スローガンは「次の飛躍へ 確かな一歩を」。大会宣言でも「次の時代の連合運動を力強く切り拓いていくためにも、今からの2年間を、足元をしっかりと固める期間としていかねばならない」と、どうやら「今の時代」で連合運動を実のあるものにすることは断念したようだ。なぜそうなったのか。資本や権力とのたたかいを放棄し、幹部のパフォーマンスだけに労働運動を矮小化してきた結果ではないか。