戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

公明党の選挙後退と創価学会 17/10/29

明日へのうたより転載

 今回の選挙、東京12区(北区全域と豊島区、板橋区、足立区の一部)は共産党・池内沙織と公明党・太田昭宏の事実上の一騎打ち。結果は11万2597票と8万3544票で太田が当選した。太田はいわば公明党の看板なので公明党がシャカリキになるのは分かるが、自民党も安倍晋三首相、野田聖子総務相を応援に送り込むなど大変な熱の入れよう。例の小池ファーストや連合東京も応援に回った。

 この選挙区は前回14年の選挙では4人の有力候補が争った。池内、太田のほかに生活の党の青木愛、次世代の党の田母神俊雄が出て、太田8万8499票、池内4万4721票、青木4万0067票、田母神3万9233票という結果だった。太田が2万4098票増やしたのに対し池内は3万8823票の上積みである。保守・反共勢力総ぐるみの太田陣営に対して池内の善戦が際立っている。

 神奈川6区の公明党上田勇は野党共闘の立憲民主青柳陽一郎に8万6291票対8万2788票で負けた。前回は上田7万8745票、青柳5万2368票だったのだから大逆転である。上田は当選7回、財務副大臣を務めた大物。今やもてもての小泉進次郎まで応援に行かせた自民党の後押しも及ばなかった。

 公明党は今回の選挙で議席を35から29へと6つも減らした。これに対して「選挙期間が短かった」とか「比例区の定員削減が響いた」とか言っているがそれだけではあるまい。公明党の比例区得票が段々と減っている。ひと頃800万を上回っていたのが今回は697万である。共産党に入れた創価学会員が『赤旗』で紹介されていた。絶対支持団体である創価学会が変化を始めているのかもしれない。

 10月22日の衆院選当日、雨の降る中を信濃町の創価学会本部前で「共謀罪と安保法制の廃止のために闘え」「初代の獄死を忘れるな」とのプラカードを掲げたサイレントアピールが行われた。この行動は今回で9回目。創価学会から解雇された3人の本部勤務員とその支持者によって15年12月から続けられている。

 3人解雇の発端は、3人のうちの1人Aさんが『聖教新聞』購読を2部から1部に減らしてほしいと申し出たことから始まった。創価学会上部は減紙申し出を受け付けず本人への暴言を繰り返した。なおも説明を求めるAさんを解雇し学会から除名された。さらにAさんに同調した2人も解雇。今解雇撤回を求めて裁判でたたかったている。竹のカーテンといわれる創価学会内部から不満が噴出する日も近い気がする。