戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
『週刊金曜日』11月3日号で中野晃一と植野妙実子が対談している。丸々4ページで読みでがある。植野妙実子さんは最近結成した「憲法学者と市民のネットワーク(憲法ネット103)」の呼びかけ人。今回の総選挙で共産党が果たした役割についての2人の指摘が鋭い。長い引用だがご勘弁を。
中野「(前略)共産党や社民党との選挙協力が見込めたからこそ、立憲民主党は結党できたのです。実際、立憲民主党から前職の候補者が立った選挙区では、共産党が候補者を下ろしてくれました。それがなかったら、もうどうにもならなかったはずですよ。バラバラのままで」
植野「確かに、議席は減らしてしまいましたが、共産党の協力は今回の選挙で、とても大きな役割を果たしたのは間違いありません。小選挙区制度での、一つの闘い方を示したのではないでしょうか。私の周囲では今回、『今まで共産党に投票したことはなかったけれど、立憲民主党の候補者がいなかったので初めて共産党に入れた』という話も聞いています。こうしたことから、共産党に対する一種のアレルギーみたいなものもかなり減ってくると思われます(後略)」
中野「市民が政治に参加するようになって、共産党も変わってきましたね。それに今回、共産党は21議席から12議席になりましたが、見方を変えれば、立憲民主党のためにあんなに候補者を下ろしたのにこの議席を取れたのは、初めて投票した人も相当獲得したのだろうと思います」
「市民が政治に参加するようになって共産党が変わった」という中野さんの指摘には賛成だが、おれは、市民が政治に参加するよう働きかけたのは共産党だと思っている。反原発、秘密法、戦争法、共謀罪と市民運動は予想以上に広がり結束が強まった。そして今度は市民運動の高まりの中で共産党が変わった。これは日本の社会変革の運動にとって歴史的な出来事なのではないだろうか。
選挙後の国会での首班指名で共産党と立憲民主党が同じ名前を書けなかったとか。枝野代表が共産党の連合政府構想を拒否したとか、なかなか道はデコボコしていて先が見通せない。そりゃそうだ生まれも育ちも違う政党がそんなに急に歩調を合わせられるわけがない。逆に急にべったりされたら気持ち悪い。