戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
「中堅の受注調整関与か」「リニア談合大手4社」。「神鋼役員 不正認識」「アルミ・銅部門3人更迭」「神鋼不正さらに拡大も」「統治不全 全容解明遠く」。「のぞみ台車『破断寸前』の衝撃」「JR全体で深刻さ認識を」(社説)。「経団連、自主調査を要請」「会員企業へ 信頼低下に危機感」。日産副社長、退任へ」「生産事業担当 不正検査で更迭か」「日産本社きよう 国交省立ち入り」。
企業不祥事の記事が『毎日』22日付朝刊だけでこんなにある。このほか「東京海上代理店 顧客情報が流失 口座など5400件」「生産性上がらぬ日本 G7で最下位」などというのもある。日本の経済社会を日本共産党は「ルールなき資本主義」と名付けている。まさにその通りだ。
資本主義はそもそも利益第一主義なのだが、それにしても上に挙げた企業は酷過ぎる。さすがの経団連も「品質管理のデータ改ざんなどの不正はないか年内をめどに自主的な調査を行い、法令違反などがあった場合は速やかに公表するよう」呼びかける始末だ。企業運営にルールのないことを自ら認めた形だ。
どうしてこんなことになったのか。おれは労働組合の責任が大きいと思う。労働組合が企業のチェック機能を果たしていないことから企業の暴走に歯止めがかからない。チェック機能どころか企業の共犯者になっているのがいまの独占大企業の労働組合だ。30年前まではこれほどではなかった。
労働組合のふがいなさと同時に指摘しなければならないのが国の経済政策だ。たとえばリニア新幹線。国民の交通利便性と全く関係ないところで立案され巨額の税金が投入されている。誰のためか。今度の「リニア疑惑」で名前の出た鹿島、大成建設、大林組、清水建設などの巨大ゼネコンのためだ。20年の東京オリンピック、原発、豊洲市場も同類だ。初めから談合ありきの腐った事業だったのだ。
おれはこれら①リニア新幹線、②東京オリンピック、③原子力発電、④豊洲市場の「四つの中止」を呼びかける。昔、巨大ダムや空港建設、高速道路、本四架橋など「無駄な公共投資」反対を掲げて労働組合がたたかった時代があった。東京総行動で丸紅の企業責任を告発して社屋を包囲したこともあった。
ルールなき資本主義を糾弾し、ルールある経済社会を求める運動に、今こそ労働組合が先頭に立つべきだとおれは思う。