戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
ズサンな資料、インチキデータで法案自体が自爆するはずの「働き方改革関連法案」が、来週中にも衆議院を通過し、今国会で成立する運び(19日付『毎日』)だそうだ。国会内外で労働弁護団やエキタスなどの市民団体が反対運動をやっているが、どうも肝心の労働組合の影が薄い。
折も折、連合の神津理季生会長が首相官邸で菅官房長官に会って「2019年度 連合の重点政策」を提示した。「連合は5月17日、菅官房長官に対して『2019年度 連合の重点政策』の実現を求める要請を行いました。連合からは神津会長、相原事務局長等が出席しました」(18日付『連合ニュース』)。
連合が要請したとする「重点政策」は4本10項目から成り、「長時間労働是正に向けた法整備と労働者保護ルールの堅持・強化、医療・介護・保育で働く職員の処遇・勤務環境の改善をはじめとする人材確保対策の強化、待機児童の早期解決のための財源確保と質の担保された受け皿の整備に向けた政策の推進」などを内容とする。連合側からポイントを説明し、意見交換をしたという(連合ニュース)。
俺もそうだがこれを見た労働者は「なんだこりゃ」と驚き怒りが湧いてくるはずだ。これじゃまるで現在争点になっている「働き方改革関連法案」の推進要請ではないか。連合が一応反対している「高度プロフェッショナル制度」については何もない。ということは容認するという意思表示ではないか。
5月17日付『産経』は「神津理季生連合会長『高プロ』反対を自粛!?菅義偉官房長官と面会」と報じた。「(菅長官と神津会長は)働き方関連法案について、国会で論議を深めることが重要だとの認識で一致した。(連合が反対している高プロには)神津氏は特段、言及しなかった」「菅氏は『方向性は政府も全く同じで、働き方改革の実現にしっかり対応していきたい』と伝えた」。全く舐められている。
今時連合が労働者の代表だなんて思っている人はいないだろうが、おれたちが思う思わないにかかわらず、少なくとも安倍政権は連合を労働者代表として都合よく利用している。この構図をぶっ壊したいものだ。
明後日から3週間、バリ島滞在だ。向こうでインターネットにつないでもらえるはずだから、メールもブログもこれまでと同じだ。平常通りお付き合い願いたい。