戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

外国人労働者の労働基本権確立を 18/07/18

明日へのうたより転載

 11日、総務省が人口動態調査を発表した。日本で暮らす外国人が急増しているようだ。ネットの『日経電子版』(7月11日19:40発信)が分かりやすく解説している。「外国人最多の249万人」「東京は20代の1割」「今年1月1日時点で前年比17万4千人増の249万7千人となり、過去最多を更新した」。

 東京・新宿区の20歳代住人は、日本人が7%減ったのに対して外国人は48%増えた。20歳に限ると4割が外国人だという。日本全国的に見ても20歳代では外国人が74万8千人と5.8%を占める。「町村部でも増えており、日本社会を支える働き手としての存在感が年々高まっている」。

 業種としては小売業が一番多く、全国のセブンイレブン・ジャパンでは全従業員の7%にあたる3万5千人が外国人だ。政府はさらに「金融など高度な知識を持った人材の受け入れに力を入れる一方、単純労働者にも事実上門戸を開く方針だ。建設や農業、介護など5業種を対象に19年4月に(技能修習生制度に)新たな在留資格を設け、25年までに50万人超の受け入れを目指す」。この技能修習生が大問題なのだ。

 労働基準法は第3条で国籍による差別を禁止しているが、技能修習生は労基法違反の強制労働を強いられている。外国人労働者の権利擁護に取り組んでいる「首都圏移住労働者ユニオン」という労働組合があり、ニュース『LUM』を出している。そこでは政府の実習生拡大方針に猛反対している。

 「政府の外国人政策がますます支離滅裂&非人間的になってきた」「外国人農業労働者受け入れは問題点大 派遣会社が雇用して農家に派遣」「えっ?介護実習生に資格を取らせ日本で働けるにする!」「(法改正で)技能修習生が50万人以上になるかも 人権侵害・過労死増加の恐れ」。

 特に深刻なのが介護現場だ。低賃金と劣悪労働条件のため人手不足になっている介護業種に外国人労働者を投入する政策が進められている。介護職場では入居者との意思疎通が必須条件だ。日本語が不自由な外国人労働者には大きな負担になる。政府は国会で「6か月で夜勤に入れることも可」と答弁、これには救急業務に携わる消防隊員から心配の声が上がっている。

 外国人労働者が日本人の暮らしを下支えする時代が迫っている。いま必要なのは外国人労働者の労働基本権の確立だ。そのためには労働組合の取り組み強化が喫緊の課題だとおれは思う。