戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
誕生1年になるフランスのマクロン政権が無茶な国会運営をやっているらしい。以下レイバーネットに掲載されている飛幡祐規さんのパリ報告を引用させてもらう。
「フランスではこの春、社会運動(スト、デモ、大学封鎖)が盛り上がったが、マクロン政権はそれを無視・弾圧しつつ、国鉄改革などネオリベラルな法案や、難民・外国人規制を厳しくする法案を、次々と国会で採択していった。
政府(大統領の側近や高級官僚など)が急スピードで作成し、与党「共和国前進(LREM)」議員に提出させる法案を、圧倒的多数の与党議員たちは、機械人形のごとく可決する。野党の修正案はすべて否決される。政府に服従した国民議会議長(緑の党からマクロンの党に鞍替えした日和見主義者)のもと、超スピードの不条理な時間割で運営された。かくて十分な討議も経ず、ときには出席議員数が激減する深夜を狙って、重要法案が可決(あるいは修正案が否決)された」「これほど露骨に民主主義のパロディーが展開されたことは、フランス共和国始まって以来、初めてではないだろうか」。
まるでわがアベ政権がやっていることとそっくりである。もちろんこんな与党1人舞台の国会運営に批判が起らないわけはない。政は権反対運動も起こってはいるが、思ったほどマクロンの支持率は下がらない。それをいいことにこの秋には憲法を改正して議員数を30%も減らすつもりだという。
マクロンのやった政策の中では雇用・労働に関するものが突出している。別のネット情報によると18年1月から次のような労働者攻撃(フランス型「働き方改革」)が実施された。
①解雇補償額の上限切り下げ
②グローバル企業の解雇要件の緩和
③解雇不服申立期間の2年から1年への短縮
④賃金交渉の弾力化――業種単位から企業単位へ
無茶な国会運営をやる無茶に政権が、まず労働者に矛先を向けるのはいずこの国も同じのようだ。たたかいの伝統を誇るCGTなどの労働組合が黙っていわけはないから、今後のフランス社会は激動するに違いない。同じような攻撃にさらされているわが日本の労働運動も眠っているわけにはいかないではないか。できれば国際連帯で独裁色を強めるマクロン・アベ政権に立ち向かいたいものだ。