戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

期日前投票に新たな法規制を 18/09/21

明日へのうたより転載

 本21日付『赤旗』。「争点そらし期日前動員」「沖縄知事選 佐喜眞陣営の異常」の見出しの囲み記事。2人の弁護士が期日前投票への疑問を述べている。おれがこのところいろんな場で主張している期日前投票問題を的確に捉えた専門家らしい指摘だ。「我が意を得たり」の思いで引用する。

 新垣勉弁護士=投票は本来、候補者の政策論争を十分判断して決められた投票日に行うものです。期日前投票は、仕事等の理由で投票当日に行けない等、例外でなければなりません。しかし実態は辺野古争点隠しの中で、企業・団体による組織集票の一手段として利用され、本来の期日前投票制度の趣旨を逸脱しています。1人ひとりが自分の意思を固めて投票する大切さを訴えることもとても重要になっています。

 仲山忠克弁護士=佐喜眞候補は最大争点の辺野古移設の是非を一切語らず、佐喜眞選対は、期日前投票率が4割を超えた名護市長選を例に、期日前投票動員を「勝利への確かな道」だと言ってはばからない。彼らは企業・団体名で指示を出して期日前投票動員を行い、投票に行ったかどうか、日報を出すよう求めています。これらは思想・良心の自由の侵害、秘密投票の侵害です。名護市長選では勤務中に会社の車で投票所に来る姿が多数見られました。これだけ違法行為が横行し、民意と選挙結果の乖離が生まれている以上、企業・団体ぐるみオフィスによる期日前投票は、新たな法的規制を検討する時期に来ています。

 昨夜、菅義偉官房長官は災害復旧の仕事をほったらかしにして3度目の沖縄入り。自公推薦の佐喜眞候補への支持を強く訴えた。佐喜眞陣営が狙うのは「期日前投票で確かな勝利を」とする動員作戦である。それに発破をかけているのが菅ら政府首脳なのだ。法律の施行者である官房長官が自ら公選法違反の期日前投票動員を煽るとは何事だ。日本は法治国家ではないのか。

 投票率アップを旗印に発足した期日前投票制度だが、実際は投票率は上がっていない。上がっているのは期日前投票だけで、その分当日投票者か減っている。選挙に行った人は実感しているだろうが、投票日当日の投票所は依然と違ってガラガラだ。それに比べて期日前の投票所の混んでること。

 これはどう考えてもおかしい。制度が悪用されていることは間違いない。仲山弁護士が提起しているように「新たな法規制を検討する時期に来ている」とおれも思う。