戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
東証一部上場企業でリストラの嵐が吹き荒れている。大手IT企業の富士通が45歳以上に対する希望退職を募集して話題になったが、ほかにも同じようなリストラを実施している企業があるという。ネット情報の「orangeitems’s diary」が24日付で社名を挙げて報じている。
・地図出版の「昭文社」 45歳以上を対象に80人程度の希望退職募集
・「コカ・コーラボトラーズジャパンホールディング」 45歳以上700人の希望退職募集
・「協和発酵キリン」 45歳以上勤続5年以上の社員を対象に希望退職募集
・薬品の「エーザイ」 45歳以上100人程度の応募を見込んだ希望退職募集
・「カシオ計算機」 45歳以上の一般社員と50歳以上の管理職を対象に200人の希望退職募集
・スポーツ用品店の「アルペン」 45歳以上の300人を対象に300人の希望退職募集
・通信販売の「千趣会」 45歳以上の正社員・契約社員を対象に280人の希望退職募集
・「光村印刷」 子会社の新村印刷で44歳以上30人程度の希望退職募集
・「NEC」 45歳以上勤続5年以上、人数の上限なしで希望退職募集
・「日本ハム」 45歳以上、従業員の1割の200人を上限に希望退職募集
企業が希望退職募集をすると、辞めてほしくない人から辞めていくということが言われてきた。そこで上記の企業では「45歳以上」という枠をはめたと思われる。言葉の上では「希望」ということになっているが、実際に現場では強引な「肩たたき」が行われる。いわば「指名解雇」のようなものだ。
企業側も「新卒採用を2倍に増やし、組織の若返りを目指す」(エーザイ)とリストラの目的を露骨に言い表す。一昔前ならこんなことを言う企業は労働組合の猛反発を食ったはず。今は静かなものだ。悔しいけれどこれが現実なのかも。労働運動の世界で過ごしてきた身として慚愧の念に堪えない。
政府は年金支給開始年を引き延ばすため、70歳まで働けと言っている。45歳でリストラされてしまったら後の25年はどうやって暮らしていけばいいのか。日本という国が壊れていく予感がする。