戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

コンビニの労働条件決定は団体交渉で 19/04/26

明日へのうたより転載

 「セブン、時短を容認」「行動計画 FC店判断尊重」(26日付『毎日』1面)「24時間見直し加速」「コンビニ3社行動計画」「セブン『対応遅れていた』」「収益構造改革も視野」(同6面)。1人のコンビニオーナーの勇気ある発言・行動とそれをバックアップし支援した労働組合の活動によって、日本を動かす巨大流通システムが大きく変革されようとしている。素晴らしいことではないか。

 「これまで24時間営業を一律に求めてきたセブンが方針転換に追い込まれたのは、東大阪市のFC店との時短営業を巡る対立が先鋭化し、社会的な批判が高まったためだ。セブンがすぐ見直しに踏み切らなかったため批判は拡大。混乱の責任を取る形で古谷一樹前社長は永松社長に交代した」(『毎日』)。

 セブンイレブン・ジャパンなどコンビニ本部への社会的批判が高まったについては、コンビニオーナーで組織するコンビニ加盟ユニオンの存在が大きい。東大阪市のセブンFC店が、人手不足を理由に午前1時から6時まで店を閉めると発表したのが今年の2月1日。これをセブン本部は契約違反だとして、契約解除の脅しをかけた。ユニオンはすぐさま時短営業の条件を協議するための団体交渉を申し入れた。

 セブン本部はこのユニオンの団交申し入れを拒否したが、これをきっかけに24時間営業の是非について世論の関心が高まった。労働組合が動き出したことで、人手不足と過重労働に悩むオーナーたちが声を上げ始めた。経済産業省もこの事態を放っておけず、コンビニ各社に「行動計画」の提出を求めた。

 「経産省がコンビニ各社に行動計画の策定を求めたのは、人手不足が深刻化する中、長時間労働や人件費高騰など負担が増す一方の店主側の不満が高まり、社会問題に発展したからだ」。経産省はコンビニ各社からの行動計画提出を受けて近く「有識者会議」をスタートさせる予定だ。

 24時間営業を基本とした長時間労働はFCオーナーの労働条件の問題である。「働き方改革」が議論される中で時間外労働の上限規制が不十分ながら法的に規定された。これは当然FCオーナーにも適用されるべきである。適用の条件に関しては労使の団体交渉で取り決めることが必要だろう。

 「有識者会議」というような第三者に任せるのでなく、コンビニ労働者の労働条件は労使で決めるという労働組合としての筋を通すことが今求められている。コンビニ加盟ユニオンの奮闘に期待する。