戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
昨朝日本に帰ってきた。今日は溜まっていた新聞を読むのに午前中費やした。それから昼寝。起きたら2時に近い。去年のバリ滞在ではかなり頻繁に現地でブログ更新したが、今年は同室者がいたり観光日程が混んでいたりして一週間で一回しかできなかった。日本語の「ジャカルタ新聞」も読まなかった。
とにかくバリ島の道は車の洪水だ。乗用車やトラック、小型バスの間を縫って接触すれすれにバイクが走る。信号が極端に少ない。それでも交差点はそれぞれの車が自主的に判断して止まったり走ったりする。何度か渋滞に遭ったが、流れがストップしないよう結構うまい具合にそれぞれが工夫している。
電車、地下鉄の類はもちろんゼロ、定期バスは走っているというのだが見たことはない。要するに公共交通機関がゼロに近い。自家用の車とバイクがなければ買い物にも病院へも行けない。みんな無理しても車を買う。だからインドネシアはアセアン最大の自動車市場なのだそうだ。2017年の国内販売台数が106万台、2位タイの87万台を大きく引き離している。過去最大は13年の123万台だ。
インドネシアで販売される車の98%は日本系メーカーが占める。そのうちトヨタがダントツで、中でもトヨタ系列のダイハツの伸びが著しい。最近になって中国系のSGMW(ウーリン)がインドネシア国内に組み立て工場を建設して順調に販売を伸ばしている。ディラー網の威力が日本系を凌ぐ勢いなのだ。
もちろんトヨタ、日産などもインドネシア国内に生産拠点を持っている。中国系と競争しながら車の生産能力を拡大するので、さすがに過剰気味になってきた。その分は輸出に向ける。17年度の完成車輸出台数は23万台になった。日本や中国の自動車メーカーがインドネシアでつくった車をインドネシアから輸出するということだ。日本や中国の企業がインドネシアを舞台に商売しているというわけだ。
この前の選挙で二期目の大統領を確実にしたジョコウイ氏は「自動車産業の発展はインドネシアの経済に貢献している」という趣旨の発言をしているが、本当にそうなのか。インドネシア市場だけでなく輸出までしている日本や中国の企業(資本)はインドネシア経済のために企業活動をしているのではない。
目的は自社の最大利潤の追求にある。インドネシアの技術力、労働力を使って自社の懐を肥らせているに過ぎない。インドネシアが自らの資本で国産自動車を生産することが大切なのではないか。発展する自動車産業を国と国民の手に握ることだ。そのための技術力、労働力は間違いなくあるのだから。