戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)連合の評判が悪いのは当然だが 16/10/26

明日へのうた]より転載

 このところ連合の評判がすこぶるよくない。例の新潟県知事選で原発再稼働派の自民候補を推して落選。続いて衆院東京10区補選でも共産党との選挙協力を妨害した。このため民進党候補は野党の票を集めきれず自民候補に大差で敗れた。連合は民進党の足かせになっているという声もある。

 この二つの選挙ではっきりしたのは、連合が「反共」と「労使協調」の労働組合であるということ。全国的に反原発の世論が盛り上がっているというのに、電力会社と二人三脚で再稼働を謀る。市民団体が苦労して築きあげた野党共闘から共産党を排除しようとする。これでは評判が悪くなるのも当然だ。

 しかし悪いのは連合であって(それも企業や権力と癒着した一部幹部)、労働組合がすべて悪いわけではない。その辺をごちゃ混ぜにして「もはや労働組合はいらない」などと言い出す危険がある。現役の労働組合に奮起を促す。ま、おれたち労働組合OBの責任も大きいけどね。お互いがんばろう。

 この前ネットで「二木紘三のうた物語」を開いたら「聞け万国の労働者」を取り上げていた。「『聞け万国の労働者』と聞くと、労働運動・左翼運動が盛んになった戦後になって歌われ始めた歌だと思う人が多いかもしれませんが、実は、大正9年(1920)5月2日、日本初のメーデーが東京・上野公園で開かれたときに発表されたものです。

 永井建子(けんし)作曲の軍歌『歩兵の本領』や、そのメロディを採用した旧制一高の寮歌『アムール河の流血や』の曲に、池貝鉄工の従業員で社会運動家だった大場勇が詞をつけたもの。同じメロディが右と左のデモンストレーションソングに使われたのですから、皮肉な話です」。

 これには読者からの投稿があってそれが痛烈。「今の労働組合に聞かせたい歌ですね。春闘賃上げといっても総理の要請でベアがあるだけ。ストもなければ団体交渉もない。労働三権の行使もない賃上げ。馴れ合い賃上げで勝ち取った成果など吹き飛んでしまえ。無産の民、非正規労働者決起せよ」。

 おれなんかも、労働運動に生き甲斐を感じ、労働運動で飯を食ってきた1人なんだろうな。昔話をすればキリがないが、問題は現在、それからこの先どうするかということだ。今真剣に考えて再建方針を立てないと労働組合は絶滅品種になってしまう。