戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・ロシア、ブルガリア(2005年)③ 17/01/29

明日へのうた]より転載

 リラの僧院からの帰途、バスの中で吹き込んだテープの中味が面白い。

 《午後5時20分、リラの僧院からソフィアに戻る途中です。向日葵の畑がずっと続いています。空はきれいに晴れて素晴らしい青空です。ブルガリアは第一次大戦も第二次大戦もドイツの側で戦争に参加した、珍しい国だよね。ただ当時のブルガリア皇帝はナチに協力はしたんだけどユダヤ系住民を殺すとかいう酷いことは、命令はされたんだけど実行はしなかった。ドイツの思い通りにはならなかったとこれはガイドさんの話です。

 国内にドイツと一緒に戦争することに反対する勢力があって、その勢力が国を解放して、結局はソ連圏の一員になる。ただソ連軍はブルガリアには駐留しなかった。そこがハンガリーやルーマニアと違う。ブルガリアは農業国だがソ連型の農業経営は押し付けられなかった。自分の土地で耕作する自由があった。

 確かにコメコンには入っていたわけだけど、他の東欧の国より経済の自由があった。ブルガリア独自の経済運営の権利を持っていた。とはいうけれどややはりソ連圏という縛りはあったんだよね。今回の東欧自由化の波でブルガリアも政権が変わった。これから自由主義経済となるんだけど、これはこれでいろんな問題がある。西欧から資本が入ってくるけどそれはブルガリアの経済をよくするためではない。利益第一主義の資本の論理が貫かれたとき、それにどう対抗するのか、できるのか、そこを考えておくべきだろう。

 2年後の2007年にはEUに加盟することになっている。ハンガリー、チェコなどもそうだが、これからどうなるのか。EUも極楽ではないわけだから、その中の経済力の優劣によっていろいろ問題も起こってくるだろうし、政治、外交でもアメリカやNATOの要請で中東派兵に協力させられるとかの危険がある。ガイドさんの話では国内の政局も安定していないようだし、その辺が心配だ。

 バスから見てると山の多い国だけど、国としては豊かなんだと思う。緑と水が豊富なこの国の特長を生かす西欧との付き合い方が必要になるんじゃないかな。市場経済にまきこまれては国の富を奪われることになりかねない。バスの窓から牛や羊の放牧が見える。これがブルガリアの財産なのだと思う》。

 31日から夫婦で草津温泉と四万温泉に行ってくる。しばらくブログはお休みだ。