戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)「森友」の本質は忖度と縁故主義 17/03/26

明日へのうた]より転載

  3月25日、日本維新の党の松井一郎代表は「(『森友』問題で)首相が火に油」を注いでいると安倍晋三首相を批判した(26日付『毎日』)。これは、23日の森友学園・籠池泰典理事長の証人喚問で「はしごを外した犯人は松井知事だ」と名指しで非難されて頭にきた八つ当たり的発言と見られる。

 松井氏は「(今回の問題は)贈収賄のような事件ではない」「良いそんたくと悪いそんたくがあるが、(今回は)悪いそんたくではない」「火に油を注いでいるのが安倍総理だ。そんたくはあったと、はっきり認めるべきだ」などと述べている。確かに森友学園側から多額の賄賂が政界に流れている痕跡は薄い。

 しかし①国民の財産が議員や高級官僚の「そんたく」によって不当に値引きされたこと、②小学校開校申請が知事の「そんたく」によって認可の便宜がはかられたこと、は容易に推認できる。たとえこの間に金が動いていなくても、やはり疑獄の一種なのではなかろうか。では彼らの忖度の動機は何なのか。

 この問題についての鋭い指摘をネットで読んだ。アフリカ研究者・舩田クラ―センさやかさんである。ちょっと読みにくい文章なので要約して紹介する。

 「これは典型的なネポティズム(縁故主義)で、アフリカの独裁者が使う手法です。つまり権力を握る者(大統領夫人を含む)が、近親者に次々に便宜を図ることです。長期政権は腐敗し、ネポティズムがはびこります。反対派国民を大虐殺したことで有名なルワンダの大統領は、IMFの緊縮政策で悪化した民衆の不満をヘイト的行動に誘導して、民主化運動による政権崩壊を回避しようとしました。

 森友騒動で分かったのは、政・官・財・教育・宗教・地域を巻き込んだ『戦前戦中社会の復活運動』が改憲を頂点に着々と進んでいるということです。この運動に関わることで縁故者になれ、様々な便宜が図られるという構図なのです。運動である以上大切なのは「思想」で、必ずしも金銭授受は必要としません。『仲間意識=縁故』とそれへの『恩・従』は不可欠で、『親分子分関係』と呼ばれる所以です」。

 縁故・近親者ほど、一度「縁」が崩壊すると憎しみは百倍にもなる。籠池夫妻と安倍夫妻、松井一郎、稲田朋美、籠池証言ではあの葛西敬之の名前も飛びだした。ルワンダ時代のアフリカを彷彿させるではないか。