戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
バリ島ウブドでコテージを経営する光森さん。神戸新聞の記者で、1980年代に労組委員長・新聞労連中執を務めた。おれはその頃からの付き合いだ。光森さんは94年に仲間5人とウブドに5棟のコテージを建て、光森さん夫妻だけが移住した形になった。そのコテージの土地は地主との20年契約の借地。
契約期間満了で、さらに10年の契約をすると1500万円ほどかかる。いろいろ工面して契約更新したが、それを機会にリニューアルするという。周辺の環境も変わるらしい。その辺を直接見聞きしたいと、河合、石坂、戸塚の3人でウブドを訪問することになった。4月20日からの4泊5日だ。
20日11:00成田発のいつものガルーダ航空で17:25デンパサール着。リニューアルはビラビラビンタンだけではなかった。デンパサール空港もガラスづくりの明るい建物に変貌していた。ところが、相変わらず荷物の出方は遅いし、出口はブランド店のひしめく通路を通らなければならない。待合室スペースは削られ床に座る客も。旅行者の利便をはかったというより、金儲けの意図が透けて見える。
さてビラビンタンはどう変わったか。まずおなじみのビンタンカフェは持ち主の鈴木さんがこの地区から引っ越したため、ビラビンタンの経営になる。名前をビンタン・ダイニングと変更。店内を広げるための改装中。
一番変わったのが、コテージの前に広がっていた田んぼ。埋め立てられてビラ・メサリという名の2階建て25棟のホテル(コテージ)が建つことになっている。今建設の真っ最中だが、完成後は1泊17000円の高級ホテルになる。ここの社長はビラビンタンのマネージャーでおなじみのボンさん。
田んぼがなければ蛍は飛んでこない。なんだかウブドの魅力が半減した感じだ。様変わりといえば王宮前のウブド市場もそうだ。あの雑然とした迷路のような市場のまん中に2階建ての清潔な売り場がつくられ、2000ルピア(20円)の有料トイレも設置された。やはり雰囲気ががらりと変わたな。
ビラビンタン前のスエタ通りと隣の通りの間には深い谷があって遠回りしなければならなかったが、そこに橋が架けられた。そのためなのか、ビラビンタン周辺のリゾート開発が目覚ましい。地元の人には喜ばしいのだろうが、閑静と神秘なウブドを期待する旅人にはちょっと違和感がある。そんな思いを胸に抱きながら、25日深夜0:30発のガルーダ航空便に体を委ねた3人でした。