戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
5月30日付『赤旗』に「共謀罪」対象犯罪の一覧表が載っている。277項目のうち「えっこんなものが」「やはりそうか」と特に印象に残る「犯罪」を拾ってみた。
汽車転覆等=松川事件、三鷹事件を思い起こす。
強制わいせつ=何故これがオリンピック開催の要件なのか。
組織的な強制執行(威力業務)妨害等=ストライキのピケや倒産会社の職場占拠が犯罪になる。
人身売買=犯罪に違いないが、何で共謀罪対象なのか。
電子計算機使用詐欺=範囲が広すぎて何でも犯罪にできる。しかも未遂でも罪になる。
偽証、強盗、強姦、収賄、障害、背任、横領、騒乱、児童淫行=なんでもござれだ。
暴行等による職業紹介等=こんなことを共謀してやる奴がいるのか。
無資格競馬(競輪、競艇、オートレース)等=私設ノミ屋の取り締まりに新たな法律が必要なのか。
自衛隊の所有する武器等の損傷=基地拡張反対の議論をしただけで犯罪になる。
著作権の侵害等=これは大問題。これまでの著作権法では侵害された本人が申告しなければ犯罪にならなかったが、今度は警察が独自の判断で摘発できる。
株主等の権利の行使に関する利益の受供与についての威嚇行為=争議団が株主総会に乗り込んで争議解決を迫る行為が(そのような争議方針を話し合っただけでも)犯罪になる。
民事再生の詐欺再生、会社更生法の詐欺更生=労働組合や争議団の倒産反対闘争に縛りがかけられる。
会社財産を危うくする行為=労働争議が弾圧の口実になる。
こんな犯罪項目がずらりと277。テロ防止とか安全なオリンピック開催のためにとかはまったくの口実であることは明白だ。「往来危険行為」「建造物侵害等」の項目を使えば、国会前集会や銀座デモも禁止できる。日本は再び物の言えない、お上や企業に逆らうことのできない暗黒社会になってしまう。