戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)
ホテルはイマイチだったが、夕食のレストランは素晴らしかった。海岸べりの居酒屋風で、メニューは魚料理が主体。いわしのオープン焼き、チーズと海老のソースのパスタ、カジキマグロのロール。ビールとワインをガブガブ飲んで酒代だけで155ユーロ。1人1500円というところか。
往きは専用パスだっが、帰りは運転手の運転時間制限のため20分ほど歩かされた。運転時間が厳格に守られているのはさすがだ。酔っ払ってシチリアの海岸を歩くのもまた楽しいものだ。ホテルについていつもの通り酒を持ち寄って反省会。談論風発とどまるところを知らず。隣の部屋から文句を言われた。
22日はネアポリス考古学公園の見学。ネアポリスというのはラテン語で下町のことだという。ナポリはそのネアポリスがなまったものだとガイドの高橋さんはいう。ほんとかな。公園は広い。ローマに支配されていた時代の遺跡がたくさん。それぞれ価値はあるのだろうが、とにかく歩かされてくたびれた。
昼食後バスで最後の訪問地タオルミーナへ。移動の約2時間ぐっすり眠る。夕方早めにホテルについて近所を散歩。青い海になだれ込んだような崖、海岸沿いを走る鉄道線路、1パック5ユーロのイチゴを売る小さな八百屋、親しみやすいおだやかな街だ。夕食はホテルのレストラン。ちょっと味気ない。
翌日は朝の市内観光の後、ギリシャ時代につくられた円形劇場を見る。今でもここでギリシャ神話を上演するそうだ。午後は自由行動。おれは1人でケーブルカーに乗って丘の上に上った。石造りの建物が並ぶ古い観光の通りを歩く。広場で休もうとしたら名前を呼ばれた。おれたちのグループメンバーか先に来ていたのだ。道路にはみ出したカフェの前で、若者が数人、ロックの伴奏で踊っていた。
1度ホテルに戻って、再びケーブルカーで丘の上へ。この日の夕食もシーフードレストラン。広場と遠くに海を見下ろせる特等席に座ってワイワイガヤガヤ。料理にもワインにも満足した。タオルミーナには2泊して24日、バスでカターニャ空港へ行き、ローマ経由で25日10:30に成田に着いた。
楽しくて内容のある旅行だったが、13時間の空の旅はやっぱり疲れた。もうヨーロッパは最後だな、と感慨を噛みしめながら帰国手続きをした。まこれで「ナポリを見ないで死ぬ」ことだけは免れたわけだ。